地域森林計画対象民有林(5条森林)は都道府県が定めた地域森林計画の対象になる「民有林」です。
ただ、山林に入っても「国有林」なのか「民有林」なのか、
民有林であっても地域森林計画対象ではない森林なのか見た目では分かりません。
また、地域森林計画対象民有林だと伐採の際に手続きが必要になってきます。
そこでこの記事では、地域森林計画対象民有林(5条森林)や森林法での規制について詳しく解説していきます。
許認可にかかる具体的な事例などもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
森林法第4条により、森林の整備や保全の目標、伐採や造林の計画量や施業の基準等を定めるために、
国(農林水産大臣)で5年ごとに15年を1期とした「全国森林計画」がたてられています。
平成31年(2019年)4月1日から15年間を計画期間とする現行の全国森林計画は、平成30年10月に閣議決定され、新たな森林・林業基本計画(令和3年6月閣議決定)を踏まえて令和3年6月に変更されました。
そして、森林法第5条により、全国森林計画に即して、都道府県知事が民有林について5年ごとに10年を1期とした「地域森林計画」がたてられています。
その地域森林計画の対象となった民有林が「地域森林計画対象民有林」です。
地域森林計画対象民有林のことを「5条森林」と呼ばれるのはこのことからです。
ただ、「民有林」とありますが、「民間」の森林という意味ではありません。
森林はその所有者に応じて次のように分かれています。
森林の種類 | 所有者 | 割合 |
国有林 | 国 | 31% |
民有林 | 県や市町村 (公有林) | 11% |
個人や企業 (私有林) | 58% |
地域森林計画対象民有林(5条森林)かどうかを見分けるには、都道府県や市町村の林務課などの森林の担当部署で調査を行う必要があります。
森林計画図・森林簿を確認させてもらい、地域森林計画対象民有林(5条森林)の区域内か区域外かを確認します。
(探したい位置の広域の地図や地番などを担当部署に伝えられると探すのがスムーズになります。)
また、森林計画図のプリントアウトには手数料がかかることも多いため準備しておきましょう。
最近では、都道府県のGISなどでネット上での調査が可能な自治体もあります。
地域森林計画対象民有林(5条森林)に該当しない民有林であれば、森林法の対象にはなりません。
土地の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)に地目が山林とあっても、地域森林計画対象林でなければ森林法の対象にはなりません。
ただし、逆に土地の地目が山林以外の「雑種地」「原野」でも地域森林計画対象民有林に該当していることがあります。
山地での伐採や開発計画がある場合は、必ず森林計画図・森林簿で地域森林計画対象民有林(5条森林)ではないか確認が必要です。
林地開発許可は1ha以上(太陽光発電事業は0.5ha以上)、伐採届は林地開発許可基準未満となりますが、
地域森林計画対象民有林(5条森林)に該当しない山林は森林法の対象にはならないので、手続きは不要です。
明確に対象外であれば分かりやすいのですが、地域森林計画対象民有林をまたいだ開発計画となることもあります。
その場合、基本的には、地域森林計画対象民有林(5条森林)に該当する部分の面積を測量などで測定し、
該当する面積を明らかにして、その面積に応じた手続きとなります。
開発計画全体は1.5haあるのですが、そのうち0.7haが地域森林計画対象外なので、
申請対象は0.8haとなり、1ha以下となるので、林地開発許可申請ではなく、伐採届の申請となります。
・都道府県境や市町村境をまたがる開発計画
→またがる両方の自治体に対して計画全体を示した申請が必要になります。
・保安林が開発計画地内にある
→保安林の種類にもよりますが、保安林の解除は限りなく難しいです。
原則として解除はできない、というものであり絶対にできないという場所もあるので、早めに確認しましょう。
(参考)保安林の主な種類 林野庁HPより
水源かん養保安林、土砂流出防備保安林、土砂崩壊防備保安林、飛砂防備保安林、
防風保安林、水害防備保安林、潮害防備保安林、干害防備保安林、防雪保安林、風致保安林など
ここからは、株式会社環境と開発にご相談頂いた地域森林計画対象民有林(5条森林)の許可申請に関わる事例をご紹介します。
林地開発許可の取得や変更を検討されている方は、是非参考にしてください。
【課題】
森林区域で起伏のある地形だったので、土量バランスをとりながらパネル設置面をいかに作り出せるかが大きな課題となりました。
【施策】
日本各地での多くの案件を経験して積み上げた実績をもって、単に技術基準や関係する続きの対応だけでなく、県や市及び地元住民が懸念している事柄を見つけ出し、それらについて解決・解消するよう対応いたしました。
①現況地形測量(航空写真測量・地上測量)
②河川能力調査・資料作成
③土木造成設計
④雨水流出抑制計画
⑤雨水調整池構造計算・設計
⑥林地開発許可取得(森林法)
⑦農地転用許可取得(農地法)
⑧土壌汚染対策法第4条改変届出
⑨公共用財産(道路)用途廃止・払下げ等許可取得
⑩法定外公共物(道路・水路)使用許可取得
⑪関連許可等の取得(道路法)
⑫太陽光発電に関わる各種関連条例対応
→ 地域森林計画対象民有林(5条森林)林地開発許可申請の本事例のページはこちら
①現況地形測量(航空写真測量・地上測量)
②土木造成設計
③下流流下能力調査
④雨水流出抑制設計(雨水調整池)
⑤雨水調整池構造計算
⑥林地開発許可取得(森林法)
⑦農地転用許可取得(農地法)
⑧土壌汚染対策法第4条改変届出
⑨法定外公共物(道路・水路)払下げ許可取得
→ 地域森林計画対象民有林(5条森林)林地開発許可申請の本事例のページはこちら