みなし許可について ~産業廃棄物処理施設の注意点 古い破砕施設の更新やM&Aでの施設取得に注意!~

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「みなし許可」という言葉はいろんな法律の取り扱いで出てくる言葉です。
今回は廃棄物処理法、産業廃棄物処理施設でのみなし許可について解説したいと思います。

基本的な考え方では、法律や制度改正で新たに許可対象となった施設に対して、許可と同等の扱いをするというものです。
ただ、建築基準法第51条ただし書き許可でのみなし許可扱いというように、みなし許可状態であることに気づかないような注意点があります。

そこでこの記事では、産業廃棄物処理施設のみなし許可の注意点・見極め方について詳しく解説していきます。
また、みなし許可の相談事例もご紹介していきますので、みなし許可の古い破砕施設の更新やM&Aでの施設取得を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
1.産業廃棄物処理施設の「みなし許可」とは?
2.廃棄物処理法での「みなし許可」
3.建築基準法第51条ただし書き許可での「みなし許可」
4.みなし許可にあたるか? 2つの見極め方
5.事例①の見極め方(都市計画区域)
6.事例②の見極め方(古い産業廃棄物処理施設)
7.みなし許可についてのご相談事例
8.まとめ


1.産業廃棄物処理施設の「みなし許可」とは?

産業廃棄物処理施設の「みなし許可」には、大きく2つの要素があります。

1つは、廃棄物処理法の改正より前に設置されていた産業廃棄物処理施設に対して、
期日までに届出を済ませることで、産業廃棄物処理施設の設置許可を受けたとみなされる扱いのことです。
(廃棄物処理法での「みなし許可」)


もう1つは、都市計画区域内で産業廃棄物処理施設を設置するためには、建築基準法第51条ただし書き許可が必要になるのですが、
上記のような廃棄物処理法でのみなし許可を受けた施設については、その際に建築基準法第51条ただし書き許可の手続きを求めない扱いのことです。
(建築基準法第51条ただし書き許可での「みなし許可」)

これには、市町村合併などで、自治体による都市計画の変更があり、
以前は都市計画区域でなかった工場が都市計画区域に入ったことで「みなし許可」扱いとなっているような場合もあります。
この場合、古くから事業をされている場合は気づきやすいのですが、M&Aなどで後から取得される際に気づきにくい注意点となります。



2.廃棄物処理法での「みなし許可」

廃棄物処理法での改正などで「みなし許可」となっている案件で1番多いのは、「木くずとがれき類の破砕施設」です。

木くずとがれき類の破砕施設は平成13年2月1日から産業廃棄物処理施設に追加されました。
それ以前に設置され、現在も稼働している施設は届出による「みなし許可」による操業と思われます。

これは、産業廃棄物処分業の許可証を見ればわかるのですが、
「事業の用に供するすべての施設」欄に「みなし施設届出」のような記載がある自治体もあります。
ただ、記載が無い自治体でも、
・施設を設置した日にちが平成13年2月1日以前で、
・処理能力が5t/日以上の木くず又はがれき類の破砕施設(破砕・○○など)
なのに施設の設置許可番号の記載が無い(「ー」記載)場合は、みなし許可の施設です。

木くずとがれき類の破砕施設については、平成13年(2001年)から22年経っているので、
今も現役で稼働しているものはかなり減っています。

軽微変更で大事に使われる分には、手続き上大変ではないのですが、
機械の能力を1.5倍以上に変更するなど、施設の入替を行う場合は、みなし許可の扱いが失効になります。

さらに、都市計画区域内の土地である場合は、新たに建築基準法第51条ただし書き許可の手続きも必要になり、都市計画審議会の審議もかかるため、
廃棄物処理法だけでなく、関係法令の制約で計画の見直しが必要になることもあります。
大変な手間と時間が必要になるので、そのような施設がまだある場合は、最低でも1~2年程度見込んで動くことが大事です。




3.建築基準法第51条ただし書き許可での「みなし許可」

都市計画区域における建築基準法第51条ただし書き許可についても「みなし許可」による運用がなされており、
都市計画区域内での施設の老朽化等による更新については特に注意が必要です。

他にも、以前は都市計画区域でなかった工場が都市計画区域に入ったことで「みなし許可」扱いとなっているような場合もあります。

ここで、注意しないといけないのが、そのようなみなし許可扱いの施設の入替を行う場合は、みなし許可の扱いが失効になるということです。

新たに建築基準法第51条ただし書き許可の手続きが必要になってきます。
そうなると、都市計画審議会での審議や関係法令の制約で計画の見直しが必要になることもあります。
大変な手間と時間が必要になるので、そのような施設がまだある場合は、最低でも1~2年程度見込んで動くことが大事です。
※建築基準法51条ただし書き許可について、詳しくは「建築基準法第51条ただし書き許可ってなに?許可基準や流れを解説!」をご覧ください。







4.みなし許可にあたるか? 重要な2つの見極め方

産業廃棄物処理施設がみなし許可にあたるのかどうかは、以下の2つの事例での見極め方を参考にして下さい。

 事例① 工場(計画地)を売買で取得する予定。
     ただ、市の合併で後から都市計画区域に入った地域らしい。
     既存の産業廃棄物処理施設は設置許可アリ。
     以前と同様に事業は可能か?
     
  ☆見極め方
   ・現在、都市計画区域に入っているか?
   ・入っている場合は、都市計画区域に入った時期がいつか?
   ・さらに、市街化調整区域か?
  

 事例② 工場(計画地)を売買で取得する予定。
     既存の産業廃棄物処理施設もあわせて取得する。
     ただ、施設がかなり古い。
     施設を入替えて、以前と同様に事業可能か?

  ☆見極め方
   ・木くず・がれき類の破砕施設があるか?
   ・ある場合は、設置した時期がいつか?
   ・都市計画区域に入っているか?
   ・さらに、市街化調整区域か?

それぞれを細かくみていきましょう。



5.事例①の見極め方(都市計画区域)

事例①の見極め方として3点あげましたが、上から確認していきましょう。

・現在、都市計画区域に入っているか?
  →市町村のホームページやGISで都市計画図を確認できるところもあります。
   都市計画区域外であれば問題になることは少ないです。

・入っている場合は、都市計画区域に入った時期がいつか?
  →市町村の都市計画部局に確認しましょう。
   産業廃棄物処理施設の設置前に都市計画区域に入っていたのであれば、問題になることは少ないです。
   (次に出てくる市街化調整区域であれば制約が厳しい可能性があります。)

・さらに、市街化調整区域か?
  →こちらも市町村に確認しましょう。
   都市計画区域の中で、市街化調整区域は産業廃棄物処理施設の設置に制約が厳しい自治体もあります。
   
一番支障がある可能性が高いのは、
 1)都市計画区域に
 2)産業廃棄物処理施設設置後に入っていて
 3)市街化調整区域
          にある土地、になります。

このような土地である場合、産業廃棄物処理施設の設置が新たに行えない可能性がありえます。

ただ、産業廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てるようにしようと考える自治体があります。
逆に産業廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てさせないという自治体もあります。

まず、市街化調整区域では、立地として設置可能かどうかは自治体に確認するのが第一です。
具体的に候補地の場所とどういった産業廃棄物処理施設を考えているかを自治体に伝えて確認すれば、絶対に難しいというものは確認できるので、
確認した結果、難しい土地ということであれば、他の土地を探すことをお勧めします。




6.事例②の見極め方(古い産業廃棄物処理施設)

事例②の見極め方として4点あげましたが、上から確認していきましょう。

・木くず・がれき類の破砕施設があるか?
  →現在の許可証と現地も確認しましょう。

・ある場合は、設置した時期がいつか?
  →許可証で確認しましょう。
   平成13年2月以降であれば、問題になることは少ないです。
   (後で出てくる市街化調整区域であれば制約が厳しい可能性があります。)

・都市計画区域に入っているか?
  →市町村の都市計画部局に確認しましょう。
   都市計画区域外であれば、問題になることは少ないです。

・さらに、市街化調整区域か?
  →こちらも市町村に確認しましょう。
   都市計画区域の中で、市街化調整区域は産業廃棄物処理施設の設置に制約が厳しい自治体もあります。
   
一番支障がある可能性が高いのは、
 1)古い木くず・がれき類の破砕施設があって
 2)その施設は平成13年2月より前に設置された
 3)都市計画区域内で
 4)市街化調整区域
          にある土地、になります。

このような土地である場合、産業廃棄物処理施設の設置が新たに行えない可能性がありえます。

これは、市街化調整区域にあるものの、みなし許可で認められていた状態だったため、
敷地の拡張や施設の増強を行う際は、廃棄物処理法の許可手続きに加えて、建築基準法第51条ただし書き許可も必要になります。

事例①でも述べましたが、産業廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てるようにしようと考える自治体があります。
逆に産業廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てさせないという自治体もあります。

まず、市街化調整区域では、立地として設置可能かどうかは自治体に確認するのが第一です。
具体的に候補地の場所とどういった産業廃棄物処理施設を考えているかを自治体に伝えて確認すれば、絶対に難しいというものは確認できるので、
確認した結果、難しい土地ということであれば、他の土地を探すことをお勧めします。



 

7.みなし許可についてのご相談事例

ここからは、株式会社環境と開発にご相談頂いた産業廃棄物処理施設のみなし許可に関する事例をご紹介します。
産業廃棄物処理施設の入替等を検討されている方は、是非参考にしてください。


みなし許可についてのご相談事例①:
都市計画区域(市街化調整区域)にもともと設置されていて、平成13年の廃棄物処理法改正により産業廃棄物処理法対象施設となった、がれき類破砕施設の敷地面積拡張事例。



【ご要望】

業務拡大の為、敷地面積を拡張する際に、既存建築物が建築基準法上の※既存不適格建築物となり、適法状態ではなくなりました。
建築基準法第51条ただし書き許可が必要になったため、当社にご相談いただきました。

※建築物完成時に「旧法・旧規定の基準で合法的に建てられた建築物」
その後、法令の改正や都市計画区域の変更などにより、現行法に対して不適格な部分が生じた建築物

【課題】
お客様は当該場所にて平成6年に、がれき類の破砕施設を設置していましたが、設置当時は廃棄物処理法の許可対象施設ではありませんでした。
その後の平成13年の廃棄物処理法改正により、がれき類の破砕施設が産業廃棄物処理法対象施設に追加され、建築基準法上では既存不適格状態となりましたが、改築や拡張など無い場合はそのままでの営業は適法なものとみなされている状況でした。
今回、敷地面積を拡張する計画となり、建築基準法第51条ただし書き許可を取得する必要がありました。

【施策】
廃棄物処理法にかかる手続きはお客様で行っており、今回はお客様にとって初めてとなる建築基準法第51条ただし書き許可についてのご要望を頂き、以下の施策を行いました。

①建築基準法第51条ただし書き許可にかかる行政協議と申請

②廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査

→ みなし許可状態からの拡張事例のページはこちら



みなし許可についてのご相談事例②:都市計画区域外で、平成13年の廃棄物処理法改正により産業廃棄物処理法対象施設となった、がれき類破砕施設の入替え事例。




【ご要望】
熊本地震で被災した、破砕施設の入替を行いたいというご要望がありました。
ただし、破砕施設自体が破砕機と分級機、コンベアが組み合わさった大型の処理プラントであり、破砕機単体ではなく、プラント全体の入替を検討したいとのご要望でした。

【課題】
みなし許可を受けている破砕施設であったため、都市計画区域の変更等がないか調査をおこないました。

【施策】
都市計画区域の変更が無い地域であったので、廃棄物処理法上の手続きとなり、
本事例では、以下の施策を行いました。

①行政との事前協議

②廃棄物処理法に基づく生活環境影響調査

③廃棄物処理法等の関係法令手続き

 → みなし許可状態からの入替え事例のページはこちら



8.まとめ

今回の記事では、産業廃棄物処理施設の「みなし許可」について取り上げました。
廃棄物処理法と建築基準法第51条ただし書き許可でのみなし許可の内容や注意点などをお伝えしてきました。

みなし許可にかかる産業廃棄物処理施設の取得や入替の際は、様々な法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。
株式会社環境と開発は、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしていますので、取得や入替の際はお気軽にコンサルティング担当にご相談ください。

→ コンサルティング担当の紹介ページはこちら

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環境省
国土交通省
公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
公益財団法人 廃棄物・3R研究財団
一般社団法人 廃棄物資源循環学会

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