開発許可について ~開発行為とは、開発許可が必要?不要?~

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土地の地形を重機などで切り開いたりなど、様々な方法で変更することを土地の開発といいます。

そして、新たに開発される市街地の環境の保全や災害の防止を図るために、
都市開発法で開発許可制度が定められており、
土地の権利関係や周囲への影響、設計の基準など、開発許可で色々なことが審査されます。

どういったことが開発許可にかかるのか、どのくらいの規模から許可が必要なのか、
工場や施設を新しく作るときに、知っておかないといけない内容です。

そこで、開発行為の定義や開発許可が必要になるかどうかの判断など、
開発許可で間違いなく進められるように詳しく解説していきます。ぜひご覧ください!



目次
1.開発許可とは?
2.開発行為とは?
(1)『建築物や特定工作物の設置を目的とする』土地の区画形質の変更
(2)建築物や特定工作物の設置を目的とする『土地の区画形質の変更』
3.開発許可が不要な開発行為とはどのようなものか
(1)開発行為にあたらないもの
(2)開発行為にあたるが、規模が一定未満のもの
4.都市計画法における建築許可について
5.開発許可申請書類の概略
6.まとめ



1.開発許可とは?


開発許可とは、新たに開発される市街地の環境の保全、災害の防止、利便の増進を図るために設けられた都市計画法上の許可制度です。

建築物や特定工作物の設置を目的とする土地の区画形質の変更を開発行為と言いますが、都市計画区域内又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ都道府県知事(指定都市、中核市においては市長)の許可を取得する必要があります。(都市計画法第29条)
ただし、一定の面積未満の開発行為については開発許可が不要になります。

都市計画区域外及び準都市計画区域外においては、1ha(10,000㎡)以上の開発行為については開発許可を取得する必要があります。

また、開発許可を受けた開発区域内の土地においては、工事完了の公告があるまでの間は、原則として建築物等を建築することができません。(都市計画法第37条)



つまり、開発行為を行う場所次第で許可が必要な面積が変わります。

ただ、一定の面積未満の開発行為や、建築物や特定の工作物を設置しない場合は、開発許可は不要になるわけですが、
地方自治体の条例や開発指導要綱という形で規制対象の拡張や規模の縮小が定められていることが多いので条例などの確認が必要です。

(一定の規模未満の開発行為は→「3.開発許可が不要な開発行為とはどのようなものか」で解説します。)



<開発許可制度(都市計画法)と林地開発許可制度(森林法)>

都市計画法上の開発許可と森林法上の林地開発許可の違いについてです。

どちらも「一定の規模以上の開発行為」があるか、ということで許可が必要か判断されます。

違うところとして、

開発許可 ・・・ 建築物や特定工作物の設置を目的とする開発行為(開発の目的)

林地開発許可 ・・・  地域森林計画の対象となる民有林での開発行為(開発の場所)

とあり、両方の許可が必要になることもあります。

⇒例えば、地域森林計画対象民有林を1ha伐採して、そこに工場(建築物)を建てるような開発行為は、
 開発許可と林地開発許可の両方が必要になります。

⇒また、地域森林計画対象民有林を1ha伐採して、太陽光発電施設や系統用蓄電池など
 建築物とみなされないような施設を設置するような開発行為は、林地開発許可のみが必要になります。

(林地開発については、→別ブログ「林地開発許可の手続きの流れ 森林法以外の条例にも注意!」へ)


【関係法令条文】
都市計画法
(開発行為の許可)
第二十九条
都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。(以下略)

(建築制限等)
第三十七条 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、前条第三項の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはならない。ただし、次の各号の一に該当するときは、この限りでない。
 当該開発行為に関する工事用の仮設建築物又は特定工作物を建築し、又は建設するとき、その他都道府県知事が支障がないと認めたとき。
 第三十三条第一項第十四号に規定する同意をしていない者が、その権利の行使として建築物を建築し、又は特定工作物を建設するとき。




2.開発行為とは?


建築物や特定工作物の設置を目的とする土地の区画形質の変更
開発行為と言います。

どういったものが開発行為にあたるのかを詳しくみていきます。


(1)『建築物や特定工作物の設置を目的とする』土地の区画形質の変更

「建築物や特定工作物の設置を目的とする」のところから細かく見ていきます。


建築物

建築物とは、建築基準法第2条第1号に定める建築物をいいます(都市計画法第4条第10項)

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする。 (建築基準法第2条第1号)


細かくみると、

「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの」 = 「建築物」
(※「建物」は不動産登記法の定義です。)

「これに附属する門若しくは塀」 = 「建築物」+「工作物」 = 「建築物」

「観覧のための工作物」 = 「建築物」 
(具体的には野球場、乗馬場等の観覧席など)

「地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、~(略)」 =「建築物」

建築物に加えて一定の工作物がついた状態ものが建築物という扱いになっています。


特定工作物

特定工作物とはコンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物(第一種特定工作物)で政令で定めるもの、又はゴルフコースその他大規模な工作物(第二種特定工作物)で政令で定めるもの、とされています。(都市計画法第4条第11項)

第一種特定工作物・・・コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵又は処理に供する工作物
第二種特定工作物・・・ゴルフコース、開発区域が1ha以上の運動・レジャー施設、開発区域が1ha以上の墓園

産業廃棄物処理施設関連では、がれき等の破砕機が第一種特定工作物にあたります。
建築基準法 別表第二(り)項3号(13)「鉱物、岩石、土砂、コンクリート、アスファルト・コンクリート、硫黄、金属、ガラス、れんが、陶磁器、骨又は貝殻の粉砕で原動機を使用するもの」



(2)建築物や特定工作物の設置を目的とする『土地の区画形質の変更』

土地の区画形質の変更については、一般的には、

・道路・水路等を新設・廃止・移動すること(区画の変更

・土地の切り盛りで土地の形状を変更すること(形の変更

・農地・山林等を宅地等にすること(質の変更)

とされています。


区画の変更

土地の「区画」の変更による開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作
物の建設の用に供する目的で行う公共施設の新設及び改廃を伴うものをいう。
なお、公共施設とは、道路、公園、下水道、緑地、広場、河川、水路及び消防の
用に供する貯水施設をいう。 (法第4条第14項、都市計画法施行令(以下「令」
という。)第1条の2)




形の変更

土地の「形」の変更による開発行為とは、主として建築物又は特定工作物の建設
の用に供する目的で行う土地の切土、盛土を伴うものをいう




質の変更

土地の「質」の変更による開発行為とは、農地等宅地以外の土地において、主として建築物又は特定工作物の建設の用に供する目的で行うものをいいます。


この土地の区画形質の変更の判断は、①区画の変更 又は ②形の変更 又は ③質の変更 がある場合、
開発行為にあたるというものです。
どれかひとつでも該当すれば開発行為にあたります

特に紛らわしいのが、③質の変更だけでも開発行為にあたるので注意です。


【関係法令条文】
都市計画法
(定義)
第四条
10
 この法律において「建築物」とは建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に定める建築物を、「建築」とは同条第十三号に定める建築をいう。
11 この法律において「特定工作物」とは、コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの(以下「第一種特定工作物」という。)又はゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの(以下「第二種特定工作物」という。)をいう。
12 この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
13 この法律において「開発区域」とは、開発行為をする土地の区域をいう。
14 この法律において「公共施設」とは、道路、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。



3.開発許可が不要な開発行為とはどのようなものか

(1)開発行為にあたらないもの

そもそも開発行為にあたらないもの、として間違えやすいものの紹介です。

建築物や特定の工作物を設置しない場合は開発行為にあたらないので、開発許可が不要になります。

例)駐車場、資材置き場など



(2)開発行為にあたるが、規模が一定未満のもの

都市計画法施行令(政令)で定める規模より小さい開発行為については開発許可不要となります。
政令で定める規模とは次のものになります。

市街化区域:1,000㎡未満
非線引き都市計画区域及び準都市計画区域:3,000㎡未満
都市計画区域外及び準都市計画区域外:10,000㎡未満


ただ、一定の面積未満の開発行為や、建築物や特定の工作物を設置しない場合は、開発許可は不要になるわけですが、
地方自治体の条例や開発指導要綱という形で規制対象の拡張や規模の縮小が定められていることが多いので条例などの確認が必要です





4.都市計画法における建築許可について

※「建築許可」は建築基準法で定められている「建築確認」とは別の許可です。※

既に開発許可を受けている市街化調整区域の土地で、建築行為を行うために必要になるのが、都市計画法上の「建築許可」になります。
 

市街化調整区域では、原則として、開発許可又は建築許可を受けなければ建築行為等を行うことができません。

一般的には、建築物を建てる場合、

<都市計画法>
「開発許可」→「土木工事」→「完了検査」→「完了公告(検査済証)」→

<建築基準法>
 →「建築確認」→「建築工事」→「完了検査」→「検査済証」→(利用開始)

と進んでいきます。


ここで、開発許可を新たに取得することが不要となる場合、建築確認の前に「建築許可」が必要になります

この場合の流れとしては、

<都市計画法>
「建築許可」→

<建築基準法>
 →「建築確認」→「建築工事」→「完了検査」→「検査済証」→(利用開始)

という形になります。


①既に開発許可を受けた土地の場合(新たに開発許可が不要な場合)、

開発許可を受けた開発区域内において、予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築し、又は新設し、また、建築物を改築し、又はその用途を変更し当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物にする場合は、知事の許可が必要となります。(都市計画法第42条)

もともとの開発許可で予定していない建築物や特定工作物の新築・新設等を行うには、「建築許可」が必要になります。



②市街化調整区域で開発許可が不要な場合(開発行為にあたらないなど)、

市街化調整区域で開発許可を受けた開発区域以外において、建築物の新築、改築、用途の変更又は第1種特定工作物の新設を行う場合は、知事の許可が必要となります。(都市計画法第43条)。

市街化調整区域で開発許可を受けていない土地で、開発行為がなく、建築物や特定工作物の新築・新設等を行うには、「建築許可」が必要になります。




【関係法令条文】
都市計画法
(開発許可を受けた土地における建築等の制限)
第四十二条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第三十六条第三項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築し、又は新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物としてはならない。ただし、都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可したとき、又は建築物及び第一種特定工作物で建築基準法第八十八条第二項の政令で指定する工作物に該当するものにあつては、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りでない。

(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)
第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。

 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
 仮設建築物の新築
 第二十九条第一項第九号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの




5.開発許可申請書類の概略

都市計画法に基づく開発行為の許可申請は、決められた様式(別記様式第二、又は別記様式第二の二)による申請書に、都市計画法施行規則第十七条に定められた添付書類を添付して許可権者に提出することになります。

提出先は都道府県知事(指定都市、中核都市においては市長)ですが、その他の市町村の長が事務処理をすることになっていることもありますので、各自治体が作成している開発許可の手引き等をご確認ください。


【関係法令条文】

・都市計画法施行規則第十七条(開発許可の申請書の添付図書)

法第三十条第二項の国土交通省令で定める図書は、次に掲げるものとする。

一 開発区域位置図

二 開発区域区域図

三 法第三十三条第一項第十四号の相当数の同意を得たことを証する書類

四 設計図を作成した者が第十九条に規定する資格を有する者であることを証する書類

五 法第三十四条第十三号の届出をした者が開発許可を受けようとする場合にあつては、その者が、区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された際、自己の居住若しくは業務の用に供する建築物を建築し、又は自己の業務の用に供する第一種特定工作物を建設する目的で土地又は土地の利用に関する所有権以外の権利を有していたことを証する書類

六 開発行為に関する工事が津波災害特別警戒区域(津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第七十二条第一項の津波災害特別警戒区域をいう。以下同じ。)内における同法第七十三条第一項に規定する特定開発行為(同条第四項各号に掲げる行為を除く。第三十一条第二項において同じ。)に係るものであり、かつ、当該工事の完了後において当該工事に係る同法第七十三条第四項第一号に規定する開発区域(津波災害特別警戒区域内のものに限る。第四項及び第三十一条第二項において同じ。)に地盤面の高さが基準水位(同法第五十三条第二項に規定する基準水位をいう。第四項及び第三十一条第二項において同じ。)以上となる土地の区域があるときは、その区域の位置を表示した地形図

2 前項第一号に掲げる開発区域位置図は、縮尺五万分の一以上とし、開発区域の位置を表示した地形図でなければならない。

3 第一項第二号に掲げる開発区域区域図は、縮尺二千五百分の一以上とし、開発区域の区域並びにその区域を明らかに表示するに必要な範囲内において都道府県界、市町村界、市町村の区域内の町又は字の境界、都市計画区域界、準都市計画区域界並びに土地の地番及び形状を表示したものでなければならない。

4 第一項第六号に掲げる地形図は、縮尺千分の一以上とし、津波防災地域づくりに関する法律第七十三条第四項第一号に規定する開発区域の区域及び当該区域のうち地盤面の高さが基準水位以上となる土地の区域並びにこれらの区域を明らかに表示するに必要な範囲内において都道府県界、市町村界、市町村の区域内の町又は字の境界、津波災害特別警戒区域界、津波防災地域づくりに関する法律第七十三条第二項第二号の条例で定める区域の区域界並びに土地の地番及び形状を表示したものでなければならない。





6.まとめ

開発許可について、いくつかの視点からまとめてみました。

開発許可は、その土地が都市計画区域なのか、どのような土地区分なのかが重要です。

新たに開発を行う場合は、様々な法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。

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