都市計画区域とは、都市計画法に基づき、都道府県(複数の都道府県にまたがる都市計画区域については国土交通大臣)が指定する区域のことです。
では、都市計画区域でできること、できないことって何があるのでしょうか?
そこでこの記事では、都市計画区域、準都市計画区域、市街化調整区域といった用語や
都市計画法以外での法令との関わりについて詳しく解説していきます。
許認可にかかる具体的な事例などもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
都市計画区域とは、都市計画法に基づき、一体の都市として総合的に整備、開発、保全するために都道府県(複数の都道府県にまたがる都市計画区域については国土交通大臣)が指定する区域のことです。
都市計画区域に含まれないエリアは都市計画区域外となります。
また、準都市計画区域というものがありますが、これは「都市計画区域外」にあるエリアです。
準都市計画区域とは、都市計画区域に指定する要件を満たしていない等の理由で都市計画区域外にあるが、将来的に市街化が見込まれる区域の土地利用をあらかじめ規制し、将来的に一体の都市として総合的に整備・開発・保全されることを目的として都道府県が指定する区域のことをいいます。
高速道路のインターチェンジや観光地周辺など、将来的に開発するかも?というような地域が指定されていることがあります。
都市計画区域は、「線引き都市計画区域」と「非線引き都市計画区域」に分けられます。
さらに線引き都市計画区域内には、「市街化区域」と「市街化調整区域」があります。
先ほどでた準都市計画区域も含め図解します。
〇市街化区域と市街化調整区域 → 都市計画区域のエリアを分ける線引き
都市計画区域内においては、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図る必要があるときは、市街化区域と市街化調整区域の区分(区域区分)を定めることができます。
市街化区域 ・・・ 既に市街地を形成している区域か、概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域 ・・・ 市街化を抑制すべき区域
この区域区分を定めることを一般的に「線引き」と言います。
建築物や特定工作物の設置を目的とする土地の区画形質の変更を開発行為といいます。
都市計画区域内又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、都市計画法第二十九条に従い、都道府県知事(指定都市、中核市においては市長)の許可を取得する必要があります。
また、都市計画区域外や準都市計画区域おいても、1ヘクタール以上の開発行為については開発許可を取得する必要があります。
【関連FAQ】
開発行為の定義を教えてください。
(なお、森林において開発行為を行う場合は森林法に定められた林地開発許可を取得する必要があります。)
一定の面積未満の開発行為や、建築物や特定の工作物を設置しない場合は、開発許可は不要になります。
都市計画法施行令(政令)で定める規模より小さい開発行為については開発許可不要となります。
政令で定める規模とは次のものになります。
市街化区域:1,000㎡
区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域:3,000㎡
都市計画区域及び準都市計画区域外:10,000㎡
ただし、自治体の条例や開発指導要綱という形で規制対象の拡張や規模の縮小が定められていることが多いので確認が必要です。
例)市街化区域で500㎡以上は条例に基づく手続きが必要、など
都市計画法に基づく開発行為の許可申請は、決められた様式(別記様式第二、又は別記様式第二の二)による申請書に、都市計画法施行規則第十七条に定められた添付書類を添付して許可権者に提出することになります。
提出先は都道府県知事(指定都市、中核都市においては市長)ですが、その他の市町村の長が事務処理をすることになっていることもありますので、各自治体が作成している開発許可の手引き等をご確認ください。
「都市計画区域なのか?区域外なのか?」ということが大事になるのは、エリアによって制限が変わる法律や条令があるからです。
主なものとして、建築基準法、農地法、廃棄物処理法について簡単に見ていきます。
建築基準法は建築物の最低基準を定めている法律になります。
都市計画法による定めに従って、建築基準法により用途制限や容積率・建ぺい率の制限が定められています。
例)市街化区域にある第1種低層住居専用地域では、建築物を店舗として使用できない。
建築基準法別表第2の概要(※一部抜粋です)
市街化区域は都市計画法において「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされています。
そのため、農地転用をしたい農地が市街化区域内にある場合は、市町村の農業委員会への農地転用の「届出」が必要となります。
市街化区域以外は全て農地転用の「許可」が必要になります。
市街化区域 ・・・ 農業委員会へ農地転用の届出
市街化調整区域(線引き都市計画区域)
非線引き都市計画区域 ・・・ 都道府県知事等の許可が必要
準都市計画区域
農地転用(農地法第4条・第5条)について
廃棄物処理施設は都市計画区域(用途地域)で設置ができるかや手続きが増えるなど制約が大きいです。
都市計画区域内 ・・・ 廃棄物処理施設設置許可 + 建築基準法第51条ただし書き許可
また、市街化調整区域に計画する場合も要注意です。
廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てるようにしようと考える自治体があります。
逆に廃棄物処理施設は市街化調整区域に建てさせないという自治体もあります。
市街化調整区域では、立地として廃棄物処理施設を設置可能かどうかを自治体にまず確認するのが第一です。
具体的に候補地の場所とどういった廃棄物処理施設を考えているかを伝えて確認すれば、絶対に難しいというものは確認できるでしょう。
都市計画区域・区域外に関する環境と開発でのご相談事例をご紹介します。
工場や廃棄物処理施設に関わるものは、
都市計画区域であれば、市街化区域の「工業地域」「工業専用地域」、市街化調整区域、
都市計画区域外というものが多いです。
宅地開発だと都市計画区域内のものが多いです。
【課題】
該当市町村では事業内容やスキームが初めての事例でした。
そのため、県も含めた関係行政機関と密な打合せを行っていく必要がありました。
【施策】
本事例では、市街化調整区域での開発許可手続きを済ませ開発の許可を得ました。
ほか、以下の施策を行いました。
①各種インフラ調査
②現況地形測量・境界測量
③土木造成計画立案
【課題】
小学校に近く、すぐ隣迄住宅地があるが、裏は自衛隊の演習場で、計画地は市街化調整区域でした。
計画の規模から「地区計画」による都市計画決定での立地要件を獲得する他は有りませんでした。
【施策】
本事例では、地区計画を策定し、県との下協議や都市計画審議会を経たうえで、市街化調整区域での開発許可手続きを済ませ開発の許可を得ました。
ほか、以下の施策を行いました。
①各種インフラ調査
②現況地形測量・境界測量
③土木造成計画の立案
④農地法に基づく農地転用許可の取得
⑤道路法に基づく関連許可等の取得
【ご要望】
金属系廃棄物の処理の拡充のために、2拠点目として計画を立案され、一廃・産廃処理施設と自動車リサイクル法にかかる施設を併設したいとの要望。
第1期竣工直後に起こった熊本地震を受けて、緊急かつ大量に発生する災害廃棄物の受入れに十分な規模の施設を整備したいとの要望。そのため、再度の建築基準法第51条ただし書き許可を取得するなどが必要に。
【課題】
第1期申請の際、開発が制限される市街化調整区域内での工事計画の為、建築基準法、都市計画法や廃棄物処理法など多岐にわたる法令手続きを随時進めていく必要ありました。また、計画地が過去にセメントプラントとして使われており、開発手続きと並行して土壌汚染対策法に基づく土壌調査に時間がかかりました。
【施策】
本事例では、廃棄物処理法関連の手続きのほか、以下の施策を行いました。
①建築基準法第51条ただし書き許可にかかる手続き
②市街化調整区域での開発許可にかかる協議
③工場敷地内に残っていた里道・水路の払下げ手続き
④土壌汚染対策法に基づく汚染土壌調査
都市計画区域は、「線引き都市計画区域」と「非線引き都市計画区域」に分けられます。
さらに線引き都市計画区域内には、「市街化区域」と「市街化調整区域」があります。
都市計画区域外も含め、どこに該当するかで色々な手続きが変わってきます。
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