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生活環境影響調査とは?概要を廃棄物処理施設づくりのコンサルタントが解説!

廃棄物処理施設を新設したいんだけど、生活環境影響調査がどのようなものなのか概要を知りたい。
生活環境影響調査を請け負ってくれる会社も知りたい。
↑本記事ではこういったお悩みにお答えしています。
廃棄物処理施設は人々の生活にとってなくてはならないものですが、廃棄物処理施設を新たに設置したり、既存施設の構造などの変更をする際には、生活環境の保全を目的として【生活環境影響調査】が義務付けられています。
本記事では廃棄物処理施設の設置・変更にともない実施される生活環境影響調査について解説していきます。
こんな企業様におすすめの記事です
・生活環境影響調査とは何か、どんなことをするのか概要が知りたい企業様。この記事を読むメリット
・生活環境影響調査について概要がわかる。
・生活環境影響調査をする会社が見つかる。
「詳しいことはいいから先にざっくり内容を知りたい!というあなたのために、先に結論です。
結 論
生活環境影響調査とは、【廃棄物処理施設の設置における周辺地域への影響を調査し、対策を立て書類にまとめること】です。
ではここからは、さきに深堀していきましょう。
◆生活環境影響調査とは?概要を廃棄物処理施設づくりのコンサルタントが解説!
1.生活環境影響調査の概要
生活環境影響調査ならびに環境アセスメントが生まれた背景には、高度経済成長期の公害被害や大規模開発による自然破壊があります。
公害や自然破壊の問題に対処し、自然環境が人々の住環境を守るための取り組みとして、制度化され開始されました。
生活環境影響調査は、廃棄物処理施設を設置・変更するための許可手続きに含まれ、実施が義務付けられています。
よって廃棄物処理施設設置者は、計画段階で、廃棄物処理施設設置による周辺地域に与える影響を予測・分析して、維持管理方法含め対策を検討し、それにそった計画を立案しなければならないのです。
そして許可申請時、知事に申請書を提出する際は生活環境影響調査の結果を記載した書類を添付しなければなりません。
2.生活環境影響調査の目的
生活環境影響調査の目的は、公害や自然破壊を防ぐためのものであると先ほど挙げましたが、他にも重要な目的があります。
廃棄物処理施設は都市機能を維持するために絶対に必要なものですが、地域住民からすれば近くにはあって欲しくないものです。
廃棄物処理施設の周辺環境への影響を適切に評価し、必要な対策を反映した事業計画とすることで、地域住民からの理解が得られやすくなります。
それは公害や自然破壊に配慮するだけではなく、地域紛争リスクを減らし、廃棄物処理施設を設置する事業者自身を守ることにも繋がるのです。
だからこそ、廃棄物処理施設設置による環境リスクを調査し、調査および予測結果に基づき、地域の生活環境に配慮したきめ細かな対策を検討するのです。
3.法及び条例に基づく環境アセスメントとの違い

生活環境影響調査のことをネットで検索すると、「環境アセスメント」「環境影響評価」「アセス」「ミニアセス」など様々な言葉が出てきて、どれがどれだかわからなくなる方も多いと思いますので、表にしてみました。
大規模な開発や環境への影響が大きい施設の設置の前に、影響の予測・評価を行い、対策を検討して計画に反映することを環境影響評価(環境アセスメント)と言います。
その内、廃棄物処理法に基づいて行われるものが「生活環境影響調査(ミニアセス)」になります。
ちなみに他にも法令による義務がない環境影響評価もあり、【自主アセス】と呼ばれます。
自主アセスは、事業の周辺環境への影響や対策について自主的な開示を行うことで、地元との信頼関係を構築し、自社のCSR(企業の社会的責任)を外部に示すことができます。
義務ではない環境アセスメントですので、調査項目・調査方法などは事業者の事業内容によって様々です。
4.生活環境影響調査の対象施設
生活環境影響調査の対象施設は廃棄物処理法に規定された【一般廃棄物処理施設】と【産業廃棄物処理施設】に大別されます。
4-1.一般廃棄物処理施設

※設置には廃棄物の処理及び清掃に関する法律第8条の手続きが必要です。
4-2.産業廃棄物処理施設

※設置には廃棄物の処理及び清掃に関する法律第15条の手続きが必要です。
5.生活環境影響調査の調査項目

生活環境影響調査の項目は大気質・水質・騒音・振動・悪臭が挙げられますが、調査の具体的な項目は廃棄物処理施設の種類や規模、並びに処理を行う廃棄物の種類、さらに地域状況を考慮して設定されます。
よって、事業内容や自治体により選定項目が異なる可能性があります。
5-1.焼却施設における生活環境影響調査項目

5-2.破砕・選別施設における生活環境影響調査項目

5-3.最終処分場における生活環境影響調査項目

注) その他必要な項目とは、処理される廃棄物の種類、性状及び立地特性を考慮して、影響が予測される項目である。
出典:「廃棄物処理施設生活環境影響調査指針」(環境省 平成18年9月)
最終処分場については、規模が大きい場合、生活環境調査ではなく、環境影響評価が必要となることがあります。

6.生活環境影響調査の流れ

1) 調査項目の整理
事業計画や地域特性を鑑み、施設の稼働等によって生じる生活環境への影響(大気環境・水環境)を整理します。
2) 調査対象地域の設定
施設の種類・規模、自然条件、周辺地域の状況を考慮し、調査すべき地域を選定します。
3) 状況把握
生活環境影響調査の項目の現状を、文献や資料の情報、さらには現地調査により把握します。
4) 影響の予測
計画している廃棄物処理施設の構造や維持管理を前提として、一般的に用いられる予測手法をもって行われます。
5) 影響の分析
調査項目の現況把握、予測される変化の程度および環境基準等の目標を考慮しながら分析を行います。
6) 生活環境影響調査書の作成
以上の内容を取りまとめ、廃棄物処理施設の設置届出に必要な書類を作成します。
7.廃棄物処理施設の変更許可の場合の生活環境影響調査
生活環境影響調査は廃棄物処理施設を新設するときだけではなく、変更する際にも必要な場合があります。
現状と変化後の環境負担を比較し、現況と同じかそれ以下であると証明される場合は、その内容を考慮して影響の分析を行います。
施設の変更箇所が騒音、振動、悪臭等の変更が生じない部分については、施設の変更によって騒音、振動、悪臭等の変化がないことを記載することになります。
ちなみに廃棄物処理法施行規則に定める軽微な変更の場合には、変更の手続きを要しないため、生活環境影響調査は実施されません。
◆生活環境影響調査なら㈱環境と開発へ
では改めて今回のおさらいもかねて【生活環境影響調査とは?】に対する結論をもう一度確認してみましょう。
結 論
生活環境影響調査とは、【廃棄物処理施設の設置における周辺地域への影響を調査し、対策を立て書類にまとめること】です。
今回は概要をお伝えしましたが、廃棄物処理施設の新設・変更に関連するやらなければならないことは【生活環境影響調査】1つとっても、様々なものがあります。
当社では、今回お伝えした生活環境影響調査だけではなく、計画から測量、土木設計、許認可手続きを各専門家と連携し一貫してご提供可能です。
お客様の廃棄物処理施設の新設・変更等において困ったことがあれば、㈱環境と開発にお任せください。
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この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
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