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廃棄物処理施設、リサイクル施設、スクラップヤードの違いについて 廃棄物処理法改正でどう変わる?

2026年4月、日本の資源循環政策に大きな転換点が訪れました。
政府が閣議決定した「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」により、これまで規制の対象外だったスクラップヤードが、新たに許可制となることが決定したのです。
この背景には、不適正な保管による環境問題が全国で多発していることがあります。騒音、悪臭、火災、金属資源の不適切な海外流出——こうした課題に対応すべく、制度の抜け穴が埋められようとしています。
しかし、「廃棄物処理施設」「リサイクル施設」「スクラップヤード」は一体何が違うのでしょうか?
今回の法改正で何が変わり、どんな問題が解決されるのでしょうか?
本記事では、これらの施設の制度的な違いと現状の問題点について、わかりやすく整理して解説します。
※2026年4月時点での内容です。法律施行までに情報が入り次第更新してまいります。
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1.「リサイクル施設」という名称の整理
まず、「リサイクル施設」について、整理をしたいと思います。
というのが、「リサイクル施設」と同じような施設名称として、「リサイクルセンター」や「資源化センター」、「クリーンセンター」等といった色々な呼び名の施設があります。
実態としては、
・一般廃棄物を中間処理してリサイクル(再資源化)する自治体運営の施設
・一般廃棄物、産業廃棄物を中間処理してリサイクル(再資源化)する民間の施設
※廃棄物処理法上の処分業許可を持っている事業者
が多いのですが、それと同様に
・有価物を回収し、処理等を行いリサイクル(再資源化)する民間の施設
※処分業許可なしの事業者
というものもあります。
今回は、
〇処分業は持たず有価物について扱っている事業者
が有価物のリサイクル処理を行っている施設を「リサイクル施設」として説明したいと思います。
2.廃棄物処理施設、リサイクル施設、スクラップヤードの制度的な違い
(1)廃棄物処理施設
廃棄物処理施設は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)に基づき厳格に規制されています。
産業廃棄物処理施設と一般廃棄物処理施設に分類され、いずれも設置には許可権限を持つ都道府県や市の許可が必要です。
産業廃棄物は事業活動に伴う20種類の廃棄物を指し、一般廃棄物は主に家庭から排出される廃棄物や産業廃棄物以外の事業系廃棄物を指します。
処理能力や施設規模に応じて設置基準が定められており、適正な分別、保管、収集、運搬、処理が義務付けられています。
※こちらで詳しく解説しています。
「産業廃棄物処理施設の設置許可について全てを解説」
https://www.etod.co.jp/article/blog/119
ここで、他の施設との大きな違いが、「許可制」という点です。
事前協議⇒住民説明⇒事前協議終了⇒申請⇒審査⇒許可 という流れで、周囲の環境や住民への配慮を確保することができます。
事業者にとっても、地元との関係性を作りながら運営していくことができます。
また、扱うものが廃棄物であっても、廃棄物処理法には特定条件下で許可を不要とする広域再生利用指定制度や再生利用認定制度などの特例制度もあります。
※こちらについてはリサイクル施設の欄で説明します。
(2)リサイクル施設
リサイクル施設は、廃棄物や有価物を再利用・再生するための施設ですが、扱う物が「廃棄物」か「有価物」かによって法的取扱いが大きく異なります。
廃棄物を扱う場合は廃棄物処理法の処分業許可が必要ですが、有価物(商品価値のあるもの)を扱う場合は原則として廃棄物処理法の処分業許可は不要です。
※有価物と廃棄物の判断には「総合判断説」がありますが、後ほど説明します。
しかし、「リサイクル」という名称を使用し、あたかも有価物のみを扱う施設であるかのように装い、実際には廃棄物を無許可で処理しているケースが問題視されています。
無許可営業に対する罰則は極めて厳しく、個人で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科される可能性があります。
環境省も無許可業者による不適正処理が環境への悪影響や不法投棄の増加を引き起こしているとして、監視強化と行政指導を進めています。
また、有価物の他に廃棄物処理法の処分業許可が不要なものとして、次のようなものもあります。
➀専ら物(もっぱらぶつ)を扱う場合
以下の4品目を専ら再生利用する場合、廃棄物処理業の許可は不要です
・古紙
・くず鉄(古銅を含む)
・空きびん
・古繊維
ただし、実際に再生利用されない場合や、専ら物以外のものを扱う場合は処分業許可が必要になります。
あと、専ら物である産業廃棄物の処理を委託する場合、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付は不要ですが、契約書の締結は必要です。
専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(通知)
https://www.env.go.jp/content/000110199.pdf
➁再生利用認定制度を利用する場合
環境大臣が特定の廃棄物を適切に再生利用する者を認定する制度で、認定を受けると廃棄物処理業の許可が不要になります。
大規模で安定的に再生利用を行う事業者向けの制度です。
【参考:環境省HP 再生利用認定制度関連】
https://www.env.go.jp/recycle/waste/sai-nin/index.html
➂広域認定制度を利用する場合
製造業者などが自社製品の廃棄物を全国規模で収集・再生利用する際に、環境大臣の認定を受けることで都道府県ごとの許可が不要になります。
この制度の利点
- 都道府県ごとの許可取得の手間が不要
- 効率的な廃棄物の処理が可能
- 透明性の向上
申請は環境省地方環境事務所に相談し、審査は通常3ヶ月程度かかります。
【参考:環境省HP 広域認定制度関連】
https://www.env.go.jp/recycle/waste/kouiki/index.html
(3)スクラップヤード
スクラップヤードは、使用済みの金属やプラスチックを屋外で保管・再生する施設です。
これまで有価物を対象とした事業と扱われることが多く、廃棄物処理法の適用外とされてきました。
そして、不適正な保管による環境問題や周辺住民との社会問題が全国で多発しているのが現状です。
そのため、自治体によっては条例で対策してきましたが、
・条例の無い自治体へ、悪質な事業者が移っていく
・届出制のため、事前の対策が確保できない
・現地指導でも有価物なのか廃棄物なのかハッキリしない
という問題があり、
まともにスクラップヤード事業を営んでいる事業者が多いものの、不法なヤード事業者が起こす社会問題が目立っていました。
しかし、2026年4月10日に閣議決定された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」により、スクラップヤードは新たに許可制へと移行することが決定しました。
ただし、施行は公布から最短でも6か月から最長2年6ヶ月以内となる予定です。
3.各施設の主な問題点
ここからは、廃棄物処理施設、リサイクル施設、スクラップヤードそれぞれの現時点での問題点や共通する問題点について挙げていきます。
(1)スクラップヤードの問題
スクラップヤードをめぐる最大の問題は、不適正な保管管理による環境汚染です。
具体的には、騒音、火災、水質汚濁といった公害の発生が各地で多発していることが挙げられます。
また、金属資源が不適切に処理され海外に流出する懸念も指摘されています。
一部の自治体では独自の条例で規制を設けていましたが、全国一律の規制が存在しないため、対応が不十分でした。
今回予定の廃棄物処理法の改正により、スクラップヤードの運営には都道府県知事の許可が必要となり、適切な保管・処理基準の遵守が義務付けられます。
基本的には廃棄物処理施設と同等の基準のものになります。
また、無許可営業には個人で最大5年の拘禁刑、法人で最大3億円の罰金という厳しい罰則が設けられる予定です。
(2)有価物と廃棄物の判断の曖昧さ(スクラップヤード・リサイクル施設)
リサイクル施設とスクラップヤードに共通する問題として、取り扱う物が「有価物」か「廃棄物」かの判断が難しい点が挙げられます。
有価物は買い取ってもらえるものが有価物というわけではありません。
有価物と廃棄物の判断には「総合判断説」が適用されています。
①物の性状(品質の安定性、有害物質の有無)
②排出状況(計画的な排出か)
③通常の取扱い形態(商品として流通実績があるか)
④取引価値(有償取引の実態)
⑤占有者の意思(再利用意思の有無)
の5要素を総合的に考慮するものです。
しかし、この基準の曖昧さを利用し、形式的な有償取引を装うことで「有価物」として扱い、許可逃れをする事業者が存在します。
実際には市場での取引価値がなく、実態として廃棄物であっても、表面上は「リサイクル」を謳うことで規制を回避しようとする行為は、脱法行為として厳しく取り締まられる対象です。
行政は実態が伴わない形式的な取引については、廃棄物と判断するケースが増えています。
(3)廃棄物処理施設の適正管理
廃棄物処理施設は厳格な許可制度のもとにありますが、処理能力の不足や不法投棄の問題、さらには災害時の廃棄物処理体制の脆弱性が課題となっています。
今回の法改正では、災害廃棄物の処理体制強化も盛り込まれており、迅速かつ適切な処理のための支援体制整備が図られます。
(4)制度の狭間での規制不足
これまで、スクラップヤードは有価物を扱うという理由で廃棄物処理法の適用外とされ、規制の狭間に置かれてきました。
一方、実質的には廃棄物に近い物を扱っているケースも多く、環境保全上の問題を引き起こしていました。
そのため、廃棄物処理法で2018年に規制が行われたのが、有害使用済機器規制です。
有害使用済機器とは、以下の条件を満たすもので、
・使用を終了し、収集された電気電子機器
・原材料としての有価性を有する(廃棄物ではない)
・不適正な保管・処分により人の健康・生活環境に被害を及ぼす恐れがあるもの
合計32品目が指定されており、内訳は以下の通りです。
家電リサイクル法対象品目(4品目):エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機
小型家電リサイクル法対象品目(28品目):パソコン、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機、電子レンジ、掃除機など各種小型電気機器
以上の有害使用済機器に対して、廃棄物処理法での規制(届出義務、保管基準・処分基準の遵守、帳簿の作成・保存、行政の監督権限、罰則規定)が定められました。
ただ、一定の効果はあったものの、届出制の限界として事前審査がないこと、届出率の低さと認知不足、監督体制の不足、罰則の軽さなど問題を根本的に解決するには至りませんでした。
実際の現場では、元は家電であっても機器としての現状を有していない場合は、有害使用済機器にあたらないため、逆に金属スクラップとして廃棄物処理法にかからないことになっていました。
今回の許可制導入により、この制度的な空白が埋められることが期待されています。
4.まとめ
廃棄物処理施設、リサイクル施設、スクラップヤードは、それぞれ異なる法的枠組みのもとで運営されてきましたが、特にスクラップヤードの規制不足が深刻な環境問題を引き起こしてきました。
2026年の法改正により、スクラップヤードが許可制に移行することで、より適切な保管と処理が促進され、環境保護と資源の持続可能な利用に向けた体制が強化される見込みです。
今後は、各施設が新たな制度に対応し、運営方針や管理方法を見直すことが求められます。
スクラップヤード事業に携わる方は、2026年の法改正に向けて早めの準備が必要です。
許可取得のための施設改修、帳簿整備、従業員教育など、今から計画的に対応を進めることをお勧めします。
廃棄物処理施設や工場の設置の際は、様々な調査事項や法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。
株式会社環境と開発は、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしています。
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この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
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