記事公開日
優良産廃処理業者認定制度を改めて目指すメリット ~再資源化事業等高度化法で広がるビジネスチャンス~

産業廃棄物処理業界で事業を営む方にとって、環境省で定められた「優良産廃処理業者認定制度」は、企業価値を高め、排出事業者からの信頼を獲得するための重要な制度です。
ただ、優良産廃処理業者認定にかかる準備の大変さと感じられるメリットが少ないことから、特に関心もないという事業者様も多いようです。
しかし、「再資源化事業等の高度化に係る認定申請」が始まり、この申請には「優良産廃処理業者認定」が必須といえます。
この記事では、制度の概要、メリット、認定要件、申請手続きに加えて、申請にあたっての苦労やデメリットについても詳しく解説します。
環境と開発
ノウハウを集めた資料集!
- 具体的な事例紹介
- テーマを絞ったお役立ち資料

1.優良産廃処理業者認定制度とは
優良産廃処理業者認定制度は、優良な産業廃棄物処理業者を評価し、産業廃棄物の処理の適正化を図ることを目的として、平成 22 年の廃棄物処理法改正により創設されました。
この制度により、事業者にとってのメリットを提供するとともに、排出事業者にとっても、適正な処理を行う優良業者を「見える化」するものになっています。
2.優良産廃処理業者認定取得のメリット
優良産廃処理業者認定制度の取得によって、処理業者が得られるメリットとして以下のものがあります。
ただ、メリット自体が魅力的とは感じられないという声も事業者に多く、現状あまり取得事業者はり多くはありません。
しかし、ここ数年での改正+再資源化事業等高度化法による「事業」の認定により、必要なものとなってきます。
(1)許可の有効期間が7年間に延長
通常の産業廃棄物処理業許可の有効期間は5年間ですが、優良認定を受けると7年間に延長されます。
これにより、更新手続きの頻度が減り、事務負担の軽減とコスト削減が実現できます。
この点については、本来更新手続きの際に優良認定を行うものとなっていましたが、令和2年(2020年)の改正で更新時以外でも認定の申請ができるようになっています。
※ただ、悩ましい点もあるので、それについては後ほど…
(2)信頼性とブランド力の向上
優良認定を受けた処理業者には許可証に「優良」マークが付与されます。
また、優良認定業者の情報は「産廃情報ネット」(https://www2.sanpainet.or.jp/zyohou/index.php)や「優良産廃処理業者ナビゲーションシステム(優良さんぱいナビ)」(https://www3.sanpainet.or.jp/)に優良認定業者として載ります。
これは排出事業者に対する強力なアピールポイントとなり、新規取引先の獲得や既存取引の継続に大きく貢献します。
特に、環境意識の高い大手企業との取引では、優良認定が取引条件となるケースも増えています。
(3)申請時の書類簡素化
優良認定を受けることで、許可申請時に必要な一部の書類を省略することが可能となり、行政手続きの効率化が図れます。
・事業計画の概要を記載した書類
・直前3年の財務諸表、法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類
・定款及び寄附行為 ・処分後の産業廃棄物の処理方法を記載した書類(産業廃棄物処分業・特別管理産業廃棄物処分業についての申請時のみ)
※「都道府県・政令市の判断により」とあるので、多少の違いはありえます。
(4)廃プラスチック類の保管上限の引き上げ:2019年~
優良産廃処分業者が、処分又は再生のために廃プラスチック類を保管する場合は、その保管上限を従来の2倍とする措置が設けられています。
これは、外国政府による使用済プラスチック等の輸入禁止措置の影響として、国内で処理される廃プラスチック類の量が増大したことによる対応として加えられました。
通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)」(令和元年9月5日付け環循規発第 19090513 号)
(5)新型インフルエンザ等まん延時に処理が滞った産業廃棄物の保管上限の引き上げ:2020年~
処分又は再生を行う処理施設において、優良産廃処理業者が新型インフルエンザ等による当該処理施設の運転の停止その他の新型インフルエンザ等に起因するやむを得ない理由により行う保管であるときは、その保管容量の上限を拡大する措置が設けられています。
これは、下の通知名にもありますが、新型コロナウイルスにより稼働に必要な従業員が出社できないなどの対応で加えられました。
通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行及び新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の円滑な処理等について(通知)」(令和2年5月1日付け環循規発第 2005011 号)
(6)財政投融資における優遇
株式会社日本政策金融公庫においては、中小企業が産業廃棄物の処理に関連する施設を取得するために必要な資金の融資を行っている(環境・エネルギー対策貸付制度)。
優良認定業者については、この貸付制度において、通常の場合よりもさらに低利率(中小企業事業:特別利率③、国民生活事業:特別利率C)で融資を受けられる。
(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/15_kankyoutaisaku_t.html)
(7)環境配慮契約法に基づき国等が行う産業廃棄物の処理に係る契約での有利な取扱い
環境配慮契約法によりに基づき定められた基本方針において、入札に付する契約については、入札に参加する者に求められる資格等として、優良産廃処理業者の認定を評価として有利に取り扱うこととなっています。
詳細は環境省HP
・基本方針 及び基本方針解説 資料 (基本方針 関連資料としてまとめて掲載)
https://www.env.go.jp/policy/ga/kihonhoushin.html
・産業廃棄物入札参加に必要な申請書類(例)及びチェックリスト(例)
https://www.env.go.jp/policy/ga/bp_mat.html
(8)再資源化事業等高度化法による事業認定(類型➂再資源化工程高度化事業):2025年~
2025年に施行された再資源化事業等高度化法による事業認定で、類型➂は類型➀②とは違い、既に設置されている廃棄物処理施設において、温室効果ガスの排出量の十分な削減が見込まれる設備の更新等が対象になっています。
その事業認定の申請で「優良産廃処理業者」の認定が必要とされています。
資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律施行規則
(再資源化工程高度化計画の申請者の能力の基準)
第五十七条 法第二十条第三項第五号の環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
(中略)
四 再資源化工程の高度化を行おうとする産業廃棄物処理施設を用いて、産業廃棄物の処理を受託しようとする場合には、優良産業廃棄物処分業者であること。
再資源化事業等高度化法による事業認定については、
「再資源化事業等高度化法の全面施行 廃棄物処分業者向けポイントと注意点」
3.優良産廃処理業者認定を受けるための5つの基準
優良産廃処理業者として認定されるには、以下の5つの基準をすべて満たす必要があります。
①遵法性
過去5年間において、廃棄物処理法その他関連法令に違反していないこと。
法令遵守は優良業者の大前提となります。
②事業の透明性
法人の基礎情報、取得した産業廃棄物処理業等の許可の内容、廃棄物処理施設の能力や維持管理状況、産業廃棄物の処理状況等の情報を、一定期間継続してインターネットを利用する方法により公表し、かつ、所定の頻度で更新していること。
➂環境配慮の取組
ISO14001やエコアクション21などの環境マネジメントシステムの認証を取得していること。
環境への配慮を具体的な形で示すことが必要です。
➃電子マニフェストの使用
電子マニフェストシステムに加入し、実際に利用できる体制を整えていること。
情報の透明性と効率的な管理が求められます。
⑤財務体質の健全性
自己資本比率などの財務指標において、健全な経営状態を維持していること。
貸借対照表、損益計算書などの財務書類により審査されます。
この①~⑤の具体的な審査を次で見てみます。
4.認定申請手続きの流れ
(1)申請窓口と方法
認定申請は、事業所を管轄する都道府県または政令市の環境局等で受け付けています。
産業廃棄物処理業の更新許可申請と同時に行う必要があり、郵送での受付は認められていないため、必ず窓口へ持参してください。
ここで、『2.(1)許可の有効期間が7年間に延長』で触れたところですが、
産業廃棄物処理業の更新許可申請と優良産廃処理業者認定を同時に出さないといけないことで、
処理業者からの声として、次のようなものもありました。
<どちらも処理業更新後1年の状態と仮定>
「処理業の更新タイミングに合わせると、あと4年待たないといけない。」
→処理業の更新後に優良認定の話を改めて聞いて申請を考えたものの、4年後ならまだいいか…
→結局直前に準備を始めて間に合わない
「処理業の更新タイミングを早めてまで、優良認定を来年受ける意味があるか?」
→顧客への売り込みや契約を考えても優良認定は欲しいが、優良認定で有効期間が7年にはなるものの、4年を捨てるような気になる…
それぞれの事業展開や更新のタイミングもあると思います。
ただ、優良認定の申請書類の準備に最短でも1年はかかるので、早めに準備していくことをお勧めします。
(2)申請手数料
優良認定申請自体には手数料はかかりません。ただし、処理業の更新許可申請には別途手数料が必要です。
(3)主な必要書類
①遵法性に関する誓約書
通常よりも高い遵法性を有することの証明として、一定期間にわたり特定不利益処分を受けていないことを求めるものです。
また、優良認定を受けようとする都道府県・政令市による特定不利益処分だけでなく、その他の都道府県・政令市や環境大臣 による特定不利益処分についても受けていないことが必要となります。
②事業の透明性関連書類:
適合証明書、情報公表の履歴(さんぱいくんを利用した情報公開)
履歴報告書、インターネット画面の印刷(利用無しの場合)
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営している「産廃情報ネット(さんぱいくん)」(https://www2.sanpainet.or.jp/index.php)
を利用することで、有償ではありますが、かなり書類の作成が楽になるのでお勧めします。
履歴証明サービス : 年3万円/1社
適合証明サービス :
適合確認手数料 年5万円/1社
適合証明書発行手数料 5千円/1通
以前はインターネット画面の印刷で申請をしたこともありますが、とにかく量が多くなることと、
誤りがないかのチェックにかなり大変でした。
また、もう一つ注意点として、事業の透明性に係る基準に適合するには、優良認定の申請前の一定期間、必要事項を公表することが必要になります。
➂環境配慮の取組の証明書類:ISO14001又はエコアクション21の認定書(写し)
各会社に合わせて取得していただければいいのですが、認証の取得に短くても半年から1年かかるため、優良認定の申請を考えるのであれば、まず早めに進めておくことをお勧めします。
➃電子マニフェスト加入証明書(写し)
廃棄物処理法に基づき指定された「情報処理センター」( 公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)が運営する電子マニフェストシステム(通称:JWNET)に加入しており、排出事業者から要望があった場合に電子マニフェストが利用可能であることを証するものです。
JWNETの案内(https://www.jwnet.or.jp/uploads/media/2019/04/20190424134010.pdf)
ただ、加入証の加入区分が「処分業者」の場合、収集運搬業の許可申請において、基準を満たしているとは言えません。
申請にあった内容かは気を付けておきましょう。
⑤財務書類:貸借対照表、損益計算書など
いくつか基準があります。
自己資本比準に係る基準:直前3年の各事業年度における自己資本比率が零以上であることに加えて、直前3年の各事業年度のうちいずれかの事業年度における自己資本比率が10%以上であること又は前事業年度における営業利益金額等が零を超えること
経常利益金額等に係る基準:直前3年の各事業年度における経常利益金額等の平均値が零を超えること
税・保険料に係る基準:産業廃棄物処理業の実施に関連のある税、社会保険料及び労働保険料を滞納していないこと
維持管理積立金に係る基準:特定廃棄物最終処分場について積み立てるべき維持管理積立金の積立てをしていること
※申請にあたっては、各自治体が公表している「申請の手引」を事前に確認し、必要書類を漏れなく準備することが重要です。
5.認定申請にあたっての準備
ここまでメリットや要件についてお話ししてきましたが、優良認定の取得は「書類を出すだけ」では決して終わりません。
実際に申請を担当される方は、多くの苦労と負担を覚悟する必要があります。
(1)環境認証取得の時間とコスト
優良認定の要件となるISO14001やエコアクション21の取得には、相応の費用と時間がかかります。
- ISO14001の場合:内容や規模によりますが、取得費用が50万~150万円、さらに毎年の審査費用として30万~80万円が必要です。取得までに6ヶ月~1年を要し、3年ごとに更新審査があります。
- エコアクション21の場合:従業員数(構成員数)によって金額が変わります。取得費用は20万~50万円程度と比較的安価ですが、ISOと同様に毎年の審査が必要で、年間維持費として約10万円がかかります。
これらの認証取得には、社内体制の整備、マニュアル作成、従業員教育など、金銭面だけでなく人的リソースも大きく投入する必要があります。
(2)情報公開の継続的な更新負担
事業の透明性を証明するため、許可内容や施設の管理状況に関する情報を自社ホームページなどでインターネット上に公開し、継続的に更新し続ける必要があります。
これは一度公開すれば終わりではなく、定期的な情報更新が求められるため、担当者にとっては恒常的な業務負担となります。
(3)膨大な申請書類の準備
優良認定申請には、通常の許可申請以上に詳細な書類が求められます。
遵法性の誓約書、適合証明書、情報公表の履歴、環境認証の証明書、電子マニフェスト加入証明書、そして詳細な財務書類など、多岐にわたる資料を漏れなく準備しなければなりません。
これらの書類収集と作成には、多大な時間と労力を要します。
(4)財務状況の厳しい審査
財務体質の健全性を証明するため、自己資本比率などの財務指標が厳しくチェックされます。
中小企業の場合、経営状況によっては基準を満たすことが難しいケースもあり、場合によっては財務体質の改善から着手する必要があります。
6.認定取得のデメリットも知っておくべき
優良認定には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
取得を検討する際には、これらも十分に考慮する必要があります。
(1)認定維持のプレッシャーとリスク
優良認定を維持するためには、法令遵守、環境配慮、財務健全性などを恒常的に維持し続けなければなりません。
万が一、法令違反や財務悪化などが発生した場合、認定が取り消されるリスクがあります。これにより、せっかく築いた信頼を一気に失う可能性があります。
(2)初期投資と維持コストの負担
前述のとおり、環境認証の取得には数十万円から百万円を超える初期投資が必要です。
さらに、毎年の審査費用や情報公開のためのホームページ維持費など、継続的なコストがかかります。
特に中小企業にとっては、経営資源への負担が大きくなる可能性があります。
(3)人的リソースの投入
申請準備、認証取得、情報更新など、優良認定に関わる業務は専任担当者がいなければ対応が難しい場合があります。
通常業務と並行して進めるには相当な負担となり、場合によっては外部への依頼が必要になることもあります。
(4)取得しないことによる競争力低下のリスク
これは直接的なデメリットではありませんが、近年、排出事業者が優良認定業者を選ぶ傾向が強まっています。
認定を取得しないことで、新規契約の機会喪失や既存取引の解約リスクが高まる可能性があります。
つまり、「取得しないことのデメリット」も考慮する必要があるのです。
7.まとめ:覚悟を持って取得に臨む
優良産廃処理業者認定制度は、許可期間の延長、排出事業者からの信頼獲得、業界全体の健全化への貢献など、多くのメリットをもたらします。
一方で、環境認証取得の費用と時間、継続的な情報公開の負担、膨大な申請書類の準備、そして認定維持のプレッシャーなど、決して軽くはない負担とデメリットも存在します。
しかし、業界全体が適正化に向かう中で、優良認定は今後ますます重要性を増していくことが予想されます。
取得には確かに大変な苦労が伴いますが、それを乗り越えることで得られる信頼とビジネスチャンスは、投資に見合う価値があると言えるでしょう。
申請を検討される場合は、社内のリソースを十分に確認し、計画的に準備を進めることが成功の鍵となります。
優良認定を取得し、信頼される産廃処理業者として、さらなる発展を目指しましょう。
【産業廃棄物設置許可・処理業の関連コンテンツ】
〇廃棄物処理施設とは? 〇産業廃棄物処理施設 種類別一覧
〇産業廃棄物処理施設の設置許可について 〇都市計画区域・区域外とは?
〇廃棄物処理施設 土地の探し方 〇廃棄物処理法 処理施設の規制の変遷
〇みなし許可について 〇建築基準法第51条ただし書き許可
〇産業廃棄物処理業の許可の種類について 〇産業廃棄物処分業について
〇最終処分とは? 〇自らの産業廃棄物を処理する場合

工場・施設づくりについて
お悩みの点・この土地なら可能か?
など、詳しく知りたい方はこちらから
この記事の著者です!
この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
太陽光発電所や廃棄物処理施設の設置に関するコンサルティングを数多く⼿掛けながら関連情報を発信しています。
太陽光発電所や廃棄物処理施設の計画・お悩み、ご質問・ご不明な点等ありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。



