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制度・法令解説

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ヤード規制の法制化によるスクラップヤードと廃棄物処理施設への影響と対応について

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2026年に公布された廃棄物処理法の改正により、これまでほぼ無規制だったスクラップヤードに対し、全国一律の許可制が導入されます。

この法改正は、火災や環境汚染などの社会問題に対応するため、スクラップヤード事業者だけでなく産業廃棄物処理事業者にも大きな影響を及ぼします。

許可取得には保管基準の遵守や帳簿作成などが求められ、違反時には最大3億円の罰金が科される可能性もあります。

本記事では、改正法の具体的な内容から事業者が直面する影響、そして施行までに準備すべき対応策まで、わかりやすく整理して解説します。


※2026年9月時点での内容です。6月19日に改正廃棄物処理法法案が公布され、
 スクラップヤード関係は公布から2年半を超えない範囲での施行なので、法律施行まで情報が入り次第更新してまいります。


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1.2026年公布の廃棄物処理法の一部改正の内容


2026年6月19日に公布された廃棄物処理法改正案により、大きな変更が予定されています。

今後、法の施行までに、施行令や施行規則(令和8年度内を目途に整備予定)など細かいところが分かってくる部分が出てくると思いますが、現時点(2026年9月)での情報です。


(1)法の目的と定義

 改正廃棄物処理法の第1条及び第2条で、新たな語句が出ています。


〇法の目的に、要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品を追加する。(第一条関係)

〇使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るものを「使用済金属・プラスチック物品」とする。(第二条第七項関係)

〇使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な保管と生活環境の保全上同等の保管を要するものを「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」とする。(第二条第八項関係)

〇使用済金属・プラスチック物品であって、適正でない再生及び当該再生のために行う保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な再生及び保管と生活環境の保全上同等の再生及び当該再生のために行う保管を要するものを「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」とする。(第二条第九項関係)


要適正保管使用済金属・プラスチック物品の考え方
【出典:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について 別添6(環境省)】


新たに許可の対象として、
 ・要適正保管使用済金属・プラスチック物品「保管業」
 ・要適正再生使用済金属・プラスチック物品「再生業」
ができました。

以前の金属やプラスチックの「ヤード事業」から「要適正保管(再生)使用済金属・プラスチック物品保管業(再生業)」となるということです。




(2)主な変更点


① 許可制  : 要適正保管(再生)使用済金属・プラスチック物品保管(再生)業について、都道府県知事の許可が必須

② 基準遵守 : 環境省が定める保管・再生基準の遵守義務
    
③ 輸出制限 : 環境汚染のおそれがある物品(バーゼル法の「特定有害廃棄物等」に該当するもの。使用済鉛蓄電池、廃電子基板等。)は国内再生が原則、輸出には環境大臣の確認が必要


別の解説記事(『廃棄物処理施設、リサイクル施設、スクラップヤードの違いについて 廃棄物処理法改正でどう変わる?』)でお伝えしたとおり、

①許可制で事前に計画内容を把握して、問題があるものについてはそもそも作らせないようにし、

②ヤード周辺の環境を守るための設備・対策を事業者に遵守させ、

③不正な輸出を止める

という、現在社会問題になっていた3点を抑えたものになっています。




(3)許可対象となる事業


今までの語句との違いもあるので、「使用済金属・プラスチック物品の保管又は再生に係る許可」での表現です。

◇保管(譲渡のためのもの)

◇再生(切断、圧縮、破砕、洗浄等、再生のために行う保管を含む。)


(許可を要しない者)
①事業場が小規模(規模は政令で決定)である事業者
②国、自治体など適正かつ確実に行うことができる者
③完成品の製造における工程(製鉄、精錬等)の一部として行われる再生を行う者


語句だけで分かりにくいので、環境省主催の第2回スクラップヤード環境対策技術検討会で示されたイメージが参考になります。
(ただし、「要検討」段階のため変わることはあり得ます。)

<スクラップヤードにおける保管業又は再生業の範囲(イメージ)>
要適再生物品と再生物品
【出典:スクラップヤード環境対策技術検討会第2回 資料1 「完成品の製造工程」及び「再生原料」の考え方(環境省)】



(4)許可基準の例  ※詳細は政省令で決定

• 事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎を有していること
• 事業に用いる施設が保管や再生の基準に適合していること
• 申請者が事業を的確かつ継続して行う能力を有していること
• 申請者が欠格要件(拘禁刑に処された者など)に該当していないこと 等

環境省から例として示されていますが、廃棄物処理業と同等かと思います。
こちらも年内目途の政省令次第と思います。



(5)廃棄物処理業者や各種リサイクル法の認可事業者への許可みなしについて

既存の廃棄物処理業者(一般廃棄物・産業廃棄物)や各種リサイクル法等の許認可事業者、委託事業者は許可事業者とみなす。
※保管基準・再生基準等の遵守も同様に義務付ける。

許可みなし
【出典:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について 別添6(環境省)】

「許可のみなし」ということで、既存の事業者は許可申請がなくとも許可を得ている扱いとなります。

「許認可を受けた事業の内容に応じ」とあるので、既存の許認可に無い事業内容で、これから施行後に行う場合は許可が必要になるかと思います。





2.2026年公布の廃棄物処理法の一部改正に伴うスクラップヤード事業者への影響


(1)全国一律の許可制導入

「全国一律」で「許可制」であるということから、今まで条例などが定められていた自治体以外にあるスクラップヤードに対しても、一律に許可が必要になります。

これまで規制対象外だった有価物としての金属スクラップ業も含め、全国一律で都道府県知事の許可制が導入されます。

既存のスクラップヤード事業者であっても、改正法施行後は新たに許可を申請・取得しなければなりません。


改正法は「公布の日から2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日」に施行予定のため、事業者は早期に施設改修や許可申請の準備を進める必要があります。




(2)改正法施行、準備までのリミット


(1)で『改正法は「公布の日から2年6か月を超えない範囲内で政令で定める日」に施行予定』と述べましたが、
今までの廃棄物処理法の改正を見ていても、経過措置が設けられると思われます。

※施行令や施行規則については、令和8年度内を目途に整備予定と環境省で示しています。


ただ、そこで注意してほしいのが、既存事業者が許可を取るために、以下のことが必要になり、
ひとつひとつに数か月の日数が必要になるからです。



(3)改正法施行までの準備の内容


<改正法施行までの準備>

①保管基準の遵守

②環境基準の遵守

③記録管理の徹底

④許可の取得



①保管基準の遵守

具体的には、

・囲いの設置による敷地境界の明確化

・床面の舗装による土壌・地下水汚染防止

・火災延焼防止措置(消火設備の設置、保管物の高さ制限)

・排水管理対策(油水分離槽の設置、排水処理施設の整備)

などが求められます。

スクラップヤードの保管基準

保管物の保管の高さ

【出典:「金属スクラップヤード等規制条例」に関するリーフレット(千葉県)】


上図は、千葉県の「金属スクラップヤード等規制条例」(千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例)の内容です。

基本的に、廃棄物処理法・廃棄物処理法施行令に定められている内容に準じたものとなっており、今回の法改正でも施設・設備は同等の内容になると思われます。

※環境省の資料でも「適正な事業者が対応できない基準とならないよう・・・」との記載があるので、一律では変わる部分もあるかもしれません。




②環境基準の遵守

騒音、振動、水質汚濁などの環境基準を満たす必要があります。
→これは、設備を整えた後に実際に騒音・振動・水質汚濁などの環境測定をおこない、該当土地での基準を越えない必要があります。

そのため、廃棄物処理施設生活環境影響調査指針(https://www.env.go.jp/recycle/misc/facility_assess/)
にあるような調査が必要になり、許可申請書類に調査内容の添付が必要になると思われます。





③記録管理の徹底

取引に関する帳簿の作成・保存が義務付けられます。

受入・搬出の記録、品目・数量の管理などが必要です。





④許可の取得

都道府県知事の許可【保管業、再生業】が義務化されます。

従来は有価物として扱われていた金属スクラップも規制対象となり、無許可営業には法人で最大3億円の罰金が科されます。


ただし、経過措置が設けられると思われます。

この期間内に、上記を満たすよう施設を整備し、許可申請を行う必要があります。


経過措置期間中に許可を取得できなければ、事業の継続ができなくなるため、早期に施設改修計画や許可申請の準備を進めることが重要です。

具体的な経過措置の期間や申請手続きの詳細は、令和8年度内に定められる予定の政省令で明らかになる予定ですので、最新情報を確認しながら対応することが求められます





(4)廃棄物処理法以外にも必要な法令対応


スクラップヤード事業者が廃棄物処理法以外でも対応が必要な主な法令です。

◎消防法
 金属スクラップ保管による火災リスク対策として、危険物の適正管理や火災予防措置が求められます。
 特にリチウムイオン電池などの発火性物質への対応が必須です。


◎都市計画法、建築基準法
 都市計画法により、市街化調整区域など立地規制が無いか注意が必要です。
 また、建築基準法では、構造次第ではヤード施設や構造物の安全基準への適合が求められます


◎土壌汚染対策法、水質汚濁防止法
 油や重金属による土壌・水質汚染防止のため、排水処理や汚染対策が義務付けられます。


◎騒音規制法、振動規制法
 扱う重機や機械(特に破砕・選別作業)によって、環境対策が義務付けられます。


他にも対応が必要なものが自治体や場所によって出てくると思われるので、許可申請中に不備がわかって進まなくということが無いよう、自治体に確認が必須です。
(廃棄物部局に聞いただけでは分からないこともあります。)





(5)既存の条例との兼ね合い 条例との2重規制も



◎各自治体の条例

今回、全国一律の法制化となるのですが、各地方自治体が独自に制定するヤード条例や金属くず条例により、届出や追加的な保管基準が課される場合があります。


実際に法施行後にならないと分からない部分はありますが、最近では「盛土規制法」の全国一律法制化の際に、条例を廃止した自治体、条例を改正して内容の被りを無くした自治体、より厳しい基準として規制を残した自治体、と判断は様々です。

既にヤード条例などがある自治体は、法施行後も条例の確認が必須となります。





3.スクラップヤード規制による産業廃棄物処理事業者への影響 新たに規制対象となる施設が出てくる?


前述のとおり、

既存の廃棄物処理業者(一般廃棄物・産業廃棄物)や各種リサイクル法等の許認可事業者、委託事業者は許可事業者とみなす。
※保管基準・再生基準等の遵守も同様に義務付ける。

「許可のみなし」ということで、既存の事業者は許可申請がなくとも許可を得ている扱いとなります。


ただ、有価物に全く規制の無い自治体の場合は、何かしらの対策が必要な可能性はあります。


◇現在、同じ敷地内で、産業廃棄物と有価物を扱う場合
 
  自治体により差はありますが、有価物を取り扱うエリアについては、特に保管などに制限が無かった場合は、今回の法改正で廃棄物と同等の保管施設等が必要となる可能性があります。




そのため、今回のヤード規制は、スクラップヤードを持つ産業廃棄物処理事業者に対しては以下の影響があります:

①規制の多層化: 地域のヤード条例と国の廃棄物処理法の両方への対応が必要
   →前ページにもあったように、条例もある自治体であれば2重規制の可能性があります。

②環境基準の厳格化: より高い環境保全基準の遵守
  →複数のヤードの許可も必要になり、時間的にも金銭的にもコストがかかります。
 

新制度の詳細は今後の政令・省令で定められるため、最新情報を確認しながら準備を進めることが重要です。




4.まとめ スクラップヤード規制の法制化に際し、今後進めるべきこと

スクラップヤード事業に携わる方は、2028年とみられる法施行に向けて早めの準備が必要です。

<改正法施行までの準備>
①保管基準の遵守 (必要な設備の設置)
②環境基準の遵守 (環境調査による証明)
③記録管理の徹底 (日々の業務管理)
④許可の取得 (取れないと廃業)

ひとつひとつが時間がかかるものなので、並行して進めていくことが必要になります。

また、廃棄物処理法の下での運営となるので、今までよりも色々と気を付けることがでてくるでしょう。

まだ、細かい施行令や各自治体の運用が決まってきてからにはなると思いますが、「許可」を得たことによる大きな「責任」も背負うことになります。


2026年の法改正により、スクラップヤードが許可制に移行することで、より適切な保管と処理が促進され、環境保護と資源の持続可能な利用に向けた体制が強化される見込みです。

今後は、各施設が新たな制度に対応し、運営方針や管理方法を見直すことが求められます。



廃棄物処理施設や工場の設置の際は、様々な調査事項や法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。
株式会社環境と開発は、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしています。

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はじめまして。
この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
産業廃棄物処理施設の設置に関するコンサルティングを数多く⼿掛けながら、廃棄物処理施設づくりの関連情報を発信しています。
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経歴
2001年株式会社環境と開発に入社。2007年には代表取締役就任する。業界トップレベルの許認可・法令関係のノウハウを持ち、安全性、経済性を満たした計画の提案から、事業開始まで一貫した提供を行う。
株式会社環境と開発 代表取締役社長 田邉陽介
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