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制度・法令解説

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【廃棄物処理事業者向け】2035年問題とは?廃棄物処理業界に訪れる使用済み太陽光パネル大量排出時代

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再生可能エネルギーの普及により、日本全国で太陽光発電設備の導入が進んできました。
特に2012年に始まったFIT制度、いわゆる固定価格買取制度をきっかけに、メガソーラーや事業用太陽光発電設備が急速に増加しました。

その一方で、今後大きな課題になると見込まれているのが、使用済み太陽光パネルの大量排出です。

環境省や経済産業省の資料では、2030年代後半以降、使用済み太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万トン程度、資料によっては50万~80万トン規模に達する可能性が示されています。

また、2026年5月29日には「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、同年6月5日に公布され、リサイクルの方向性を示しています。

※本法は公布日(2026年6月5日)から1年6ヶ月以内の2027年度中に施行される予定です。
 詳細が分かり次第、別記事にて解説していきます。

本記事では、太陽光パネルの大量廃棄が廃棄物処理業界にどのような影響があるのか、今後注意すべきポイントについて解説します。

この記事でわかること
◇廃棄物における2035年問題とは何か
◇なぜ使用済み太陽光パネルが大量排出されるのか
◇廃棄物処理業界にどのような影響があるのか
◇太陽光パネルの廃棄・リサイクルで求められる対応
◇処理事業者が今から準備すべきポイント

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1.2035年問題とは

2035年問題とは、日本の総人口の約33%(3人に1人)が高齢者となり、特に「団塊の世代」が85歳以上の超高齢期を迎えることで顕在化する社会課題の総称として主に言われています。

ただ、今回は、廃棄物処理事業、再エネ事業に関する2035年問題のことです。

2012年のFIT制度開始以降に大量導入された太陽光パネルが寿命を迎え、2030年代後半から使用済み太陽光パネルの排出量が急増すると予測されている問題です。



環境省や経済産業省の資料では、2030年代後半以降、使用済み太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万トン程度、資料によっては50万~80万トン規模に達する可能性が示されています。


これは、廃棄物処理業界にとって単なる一時的な廃棄物増加ではありません。

収集運搬、中間処理、リサイクル、最終処分、解体撤去工事までを含む、業界全体の処理体制に関わる大きな課題です。






2.なぜ2035年頃に使用済み太陽光パネルが増えるのか

太陽光パネルの寿命は、一般的に20年から30年程度とされています。

日本では、2012年にFIT制度、いわゆる固定価格買取制度が開始され、これをきっかけに、メガソーラーや事業用太陽光発電設備が全国で急速に普及しました


例えば、2012年に設置された太陽光パネルは、次のように経過します。

20年後:2032年
25年後:2037年
30年後:2042年


【出典:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について 令和5年4月 環境省


そのため、2012年から2015年前後に大量設置された太陽光発電設備が、2030年代後半から2040年代にかけて順次寿命を迎え、使用済みパネルとして大量に排出されると考えられています。
環境省資料でも、FIT制度の下で設置されたモジュールが寿命を迎えることで、2030年代後半以降に年間50万~80万トンが排出される可能性が示されています。


つまり2035年問題とは、「太陽光パネルが古くなる問題」ではなく、「短期間に大量の使用済み太陽光パネルが廃棄物として発生することに、現在の処理体制が対応できるのか」という問題です。






3.使用済み太陽光パネルは産業廃棄物として扱われる

使用済み太陽光パネルは、廃棄物処理法上、基本的には産業廃棄物として取り扱われます。


 メガソーラーなど事業目的のもの → 産業廃棄物

 一般家庭の太陽光パネル → 取り外しに電気工事士等が携わる必要があるため、解体や取り外しといった事業活動に伴い排出 → 産業廃棄物



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【出典:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について 令和5年4月 環境省



また、太陽光パネルは、主に以下のような素材で構成されています。

・ガラス
・アルミフレーム
・樹脂製バックシート
・金属類
・半導体材料

環境省資料では、太陽光パネルは一般的に、

「金属くず」「廃プラスチック類」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の混合物

として取り扱われると整理されています。

 

また、マニフェストには品目だけでなく、『「使用済太陽電池モジュール」または「使用済み太陽光パネル」であることを明示することが望ましい』とされています。

これは、中間処理業者や最終処分業者が、受け入れる廃棄物が太陽光パネルであると正確に認識できるようにするためです。

廃棄物処理事業者にとっては、受入時点で太陽光パネルであることを把握し、適切な処理ルートを選定することが重要になります。






4.廃棄物処理業界に与える3つの影響

➀収集運搬・中間処理の需要が増える

2030年代後半以降、使用済み太陽光パネルの排出量が増加すれば、当然ながら収集運搬や中間処理の需要も増加します。

太陽光パネルは一般的な廃プラスチックや金属くずとは異なり、破損リスク、ガラスの飛散、有害物質情報、リユース可否などを確認しながら取り扱う必要があります。

環境省資料では、委託契約書やマニフェストに、太陽電池モジュールであることを明記し、メーカー名や型式も記載することが望ましいとされています。

そのため、今後は太陽光パネルの性状を理解したうえで、適切に保管・運搬・処理できる事業者の役割が大きくなると考えられます。







➁最終処分場を圧迫するおそれがある

太陽光パネルは、重量の約6割をガラスが占めるとされています。

もし使用済み太陽光パネルが十分にリサイクルされず、埋立処分に回った場合、最終処分場の残余容量を圧迫するおそれがあります。

経済産業省も、使用済み太陽光パネルをすべて埋立処分した場合、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生じるおそれがあると説明しています。


つまり、2035年問題は太陽光発電業界だけの問題ではありません。

最終処分場の延命、資源循環、地域の廃棄物処理インフラにも関わる問題です。







➂リサイクル体制の整備が求められる

使用済み太陽光パネルには、アルミ、ガラス、銅、銀など、再資源化できる素材が含まれています。

しかし、現時点ではリサイクル費用が高いことが課題です。



【出典:太陽光パネルのリサイクル制度について 令和8年1月 経済産業省 環境省


環境省・経済産業省の資料では、現状のリサイクル費用は8,000円~12,000円/kW程度である一方、埋立処分費用は2,000円/kW程度からとされており、リサイクル費用の方が高い状況が示されています。


排出者にとっては、費用面だけを見ると埋立処分を選びやすくなります

そのため、今後は制度整備や技術開発により、リサイクルコストの低減と処理体制の構築が重要になります。







5.国も太陽光パネルリサイクルの制度整備を進めている

使用済み太陽光パネルの大量排出に備え、国も制度整備を進めています。

2026年4月3日には、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」が閣議決定されました。

この法律案は、2030年代後半以降に見込まれる太陽光パネルの大量廃棄に備え、リサイクルを推進するためのものです。

法律案では、主に以下のような内容が示されています。

◇基本方針の策定
◇多量排出者への対応
◇再資源化事業計画の認定制度
◇認定事業者に対する廃棄物処理法上の特例
◇製造・輸入業者、販売業者による情報提供
◇将来的なリサイクル義務化に向けた検討

特に廃棄物処理事業者にとって注目すべき点は、「再資源化事業の認定制度」です。

今後、認定を受けた事業者による広域的・効率的な処理体制が整備されれば、使用済み太陽光パネルの処理は、専門性の高いリサイクルビジネスとして成長する可能性があります。


※本法は公布日(2026年6月5日)から1年6ヶ月以内の2027年度中に施行される予定です。
 詳細が分かり次第、別記事にて解説していきます。






6.廃棄物処理事業者が今から準備すべきこと

2035年問題は、廃棄物処理事業者にとってリスクである一方、新たなビジネスチャンスでもあります。

今後に備えて、以下のような準備が重要です。

 

➀太陽光パネルの受入基準を整備する

太陽光パネルは、メーカーや種類によって構造や含有物質が異なる場合があります。

受入時には、以下のような確認項目を整理しておくことが重要です。

☑メーカー名
☑パネルの種類
☑枚数・重量
☑破損の有無
☑架台・ケーブル等の付属物の有無
☑リユース可能性
☑有害物質情報
☑排出場所
☑排出者情報


受入基準を整備しておくことで、排出事業者や解体業者からの問い合わせにもスムーズに対応できます







➁リサイクル処理ルートを確保する

自社で太陽光パネル専用のリサイクル設備を持たない場合でも、専門処理業者や再資源化事業者と連携することで、適切な処理ルートを構築できます。

特に今後は、
〇アルミ回収
〇ガラスリサイクル
〇金属回収
〇パネル分離処理
〇リユース判定

など、工程ごとに専門性が求められる可能性があります。


大量排出が始まってから処理先を探すのではなく、早い段階で連携先を確保しておくことが重要です。







➂解体・撤去事業者とのネットワークを作る

使用済み太陽光パネルは、単体で排出されるよりも、発電所の撤去、建物解体、屋根改修などに伴って排出されるケースが多くなります

そのため、廃棄物処理事業者は以下の事業者との連携が重要になります。

・解体工事業者
・電気工事業者
・太陽光発電事業者
・土地所有者
・不動産管理会社
・行政・自治体


撤去から収集運搬、処理、リサイクルまでを一体的に提案できる事業者は、今後の市場で競争力を高めやすくなります。







④排出事業者向けに情報発信する

太陽光発電設備を所有する企業や発電事業者の中には、廃棄時の手続き、処理費用、排出事業者責任について十分に理解していないケースもあります。

そのため、廃棄物処理事業者がホームページやブログで、

☑太陽光パネルの廃棄方法

☑産業廃棄物としての取扱い

☑マニフェストの記載方法

☑処理費用の考え方

☑リサイクルと埋立処分の違い

☑撤去時の注意点

をわかりやすく発信することは、問い合わせ獲得にもつながります。


特に「太陽光パネル 廃棄」「使用済み太陽光パネル 処分」「太陽光パネル 産業廃棄物」などの検索キーワードは、排出事業者からの具体的な相談につながりやすいテーマです。







7.2035年問題は早く準備した事業者が有利になる

使用済み太陽光パネルの大量排出は、まだ少し先の話に感じられるかもしれません。

しかし、処理ルートの確保、許認可の確認、設備投資、連携先の開拓、受入基準の整備には時間がかかります

排出量が本格的に増えてから対応を始めても、十分な体制を整えることは簡単ではありません。

2035年問題に早い段階から備えることで、廃棄物処理事業者は次のような強みを持つことができます。

◎排出事業者からの相談に早く対応できる

◎解体業者や発電事業者との関係を構築できる

◎リサイクル処理ルートを確保できる

◎地域内での受入拠点として認知されやすい

◎今後の制度変更にも対応しやすい


2035年問題は、廃棄物処理業界にとって避けて通れない課題です。

一方で、適正処理と資源循環の体制を整えた事業者にとっては、新たな収益機会にもなります。







8.Q&A:2035年問題に関するよくある質問

Q1.2035年問題とは何ですか?

A1.2035年問題とは、2012年のFIT制度開始以降に大量導入された太陽光パネルが寿命を迎え、2030年代後半から使用済み太陽光パネルの排出量が急増すると予測されている問題です。



Q2.使用済み太陽光パネルは産業廃棄物ですか?

A2.事業活動に伴って排出される使用済み太陽光パネルは、基本的に産業廃棄物として取り扱われます。一般的には、金属くず、廃プラスチック類、ガラスくず等の混合物として整理されます。



Q3.なぜ太陽光パネルのリサイクルが課題なのですか?

A3.太陽光パネルにはガラス、アルミ、金属など再資源化可能な素材が含まれていますが、現状では埋立処分よりリサイクル費用が高いことが課題です。



Q4.廃棄物処理事業者は何を準備すべきですか?

A4.受入基準の整備、リサイクル処理ルートの確保、解体・撤去事業者との連携、排出事業者向けの情報発信などが重要です。特に大量排出が始まる前に、地域内外の処理ネットワークを構築しておくことが有効です。







9.まとめ

2035年問題とは、FIT制度以降に大量導入された太陽光パネルが寿命を迎え、2030年代後半から使用済み太陽光パネルの排出量が急増すると予測されている問題です。


使用済み太陽光パネルは、基本的に産業廃棄物として適正に処理する必要があります。

また、将来的にはリサイクル体制の整備や再資源化の推進がより重要になります。

廃棄物処理事業者に求められるのは、単に廃棄物を受け入れることだけではありません。

・撤去
・収集運搬
・中間処理
・リサイクル
・排出事業者への情報提供
・適正処理ルートの提案

までを含めた総合的な対応力が問われる時代になります。

2035年問題は、廃棄物処理業界にとってリスクであると同時に、資源循環ビジネスへ発展する大きなチャンスでもあります。

使用済み太陽光パネルの大量排出時代に備え、今から処理体制と情報発信を整えておくことが、将来の競争力につながるでしょう。




株式会社環境と開発は、長年の廃棄物処理施設のコンサルティング経験を活かしたサポートをしていますので、太陽光パネルの処理や処理体制の構築にお困りの際はお気軽にコンサルティング担当にご相談ください。

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はじめまして。
この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
産業廃棄物処理施設の設置に関するコンサルティングを数多く⼿掛けながら、廃棄物処理施設づくりの関連情報を発信しています。
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経歴
2001年株式会社環境と開発に入社。2007年には代表取締役就任する。業界トップレベルの許認可・法令関係のノウハウを持ち、安全性、経済性を満たした計画の提案から、事業開始まで一貫した提供を行う。
株式会社環境と開発 代表取締役社長 田邉陽介
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