記事公開日
太陽光パネルは産業廃棄物?排出事業者責任と適正処理のポイントを解説

太陽光発電設備の普及に伴い、今後増加が見込まれているのが、使用済み太陽光パネルの廃棄・処分です。
特に、事業用太陽光発電設備やメガソーラーの撤去、建物解体に伴って発生する太陽光パネルについては、産業廃棄物として適正に処理する必要があります。
環境省の資料でも、使用済み太陽光パネルは基本的に廃棄物処理法に従って処理する必要があり、品目としては「金属くず」「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物として扱われると整理されています。
また、2026年5月29日には「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、同年6月5日に公布され、よりリサイクルでの方向性を示しています。
※本法は公布日(2026年6月5日)から1年6ヶ月以内の2027年度中に施行される予定です。
詳細が分かり次第、別記事にて解説していきます。
本記事では、太陽光パネルを廃棄する際の産業廃棄物としての取扱い、排出事業者が誰になるのか、マニフェストや委託契約で注意すべきポイントについて解説します。
この記事でわかること
◇太陽光パネルが産業廃棄物に該当するケース
◇住宅用太陽光パネルでも産業廃棄物になる場合
◇太陽光パネルの排出事業者は誰になるのか
◇排出事業者責任として求められる対応
◇マニフェスト・委託契約で注意すべきポイント
◇リサイクル制度の動向と今後の注意点
環境と開発
ノウハウを集めた資料集!
- 具体的な事例紹介
- テーマを絞ったお役立ち資料

1.太陽光パネルは産業廃棄物ですか?
事業活動に伴って排出される使用済み太陽光パネルは、原則として産業廃棄物として取り扱われます。
太陽光パネルは、ガラス、アルミフレーム、樹脂、ケーブル、金属類などで構成されています。そのため、廃棄物の品目としては、一般的に次の混合物として整理されます。
金属くず
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
廃プラスチック類
環境省発行の資料でも、太陽電池モジュールはこれらの産業廃棄物品目の混合物として扱われると整理されています。
つまり、使用済み太陽光パネルは、単なる粗大ごみや金属スクラップとして安易に処分できるものではありません。
排出者は、廃棄物処理法に基づき、必要な許可を有する収集運搬業者・処分業者へ適正に委託する必要があります。

【出典:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について 令和5年4月 環境省】
2.住宅用太陽光パネルも産業廃棄物になるのか
住宅の屋根に設置された太陽光パネルであっても、解体工事、屋根改修工事、電気工事などの事業活動に伴って取り外される場合は、産業廃棄物として扱われるケースがあります。
特に、建物解体や撤去工事に伴って太陽光パネルが排出される場合、基本的には解体・撤去業者が廃棄物処理法上の排出事業者となり、処理責任を負うとされています。
そのため、太陽光パネルの廃棄では、単に「住宅用か事業用か」だけで判断するのではなく、誰の事業活動に伴って排出されたのかを確認することが重要です。
3.太陽光パネルの排出事業者は誰になるのか
太陽光パネルの廃棄で最も重要なポイントの一つが、排出事業者が誰になるのかです。
排出事業者は、産業廃棄物の処理について最終的な責任を負うため、誤った理解のまま処理を進めると、委託契約やマニフェスト管理に問題が生じる可能性があります。
一般的には、次のように整理されます。
➀発電事業者が自ら撤去する場合
太陽光発電事業者が自ら設備を撤去し、使用済み太陽光パネルを廃棄する場合は、発電事業者が排出事業者になると考えられます。
➁解体・撤去工事を外部業者に依頼する場合
太陽光発電設備の撤去や建物解体を外部の業者に依頼する場合は、直接工事を請け負った元請業者が排出事業者になるのが一般的です。
➂製造・流通過程で不良品が発生した場合
メーカーや販売業者の事業活動の中で、不良品、在庫品、破損品などが廃棄される場合は、そのメーカーや販売業者が排出事業者になる可能性があります。

【出典:太陽光パネルのリサイクル制度について 令和8年1月 経済産業省 環境省】
4.排出事業者責任とは
排出事業者責任とは、「産業廃棄物を排出した事業者が、その廃棄物について、収集運搬から中間処理、最終処分まで適正に処理されるよう責任を負う」という考え方です。
太陽光パネルを処理業者に引き渡しただけで、排出事業者の責任がなくなるわけではありません。
不適正処理や不法投棄が発生した場合、排出事業者も責任を問われる可能性があります。
そのため、排出事業者は以下の対応を行う必要があります。
・委託契約書を適切に作成する
・マニフェストを交付・管理する
・太陽光パネルであることを処理業者へ明確に伝える
・メーカー名・型式・含有物質情報を確認する
・最終処分まで処理状況を確認する
【廃棄物処理法に基づく産業廃棄物の不法投棄等の対策の体系】

【出典:太陽光パネルのリサイクル制度について 令和8年1月 経済産業省 環境省】
5.マニフェストには「使用済み太陽光パネル」と明記する
使用済み太陽光パネルを産業廃棄物として処理委託する場合、排出事業者は産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストを交付する必要があります。
このとき、品目として「金属くず」「ガラスくず」「廃プラスチック類」と記載するだけでは、処理業者が太陽光パネルであることを正確に把握できない可能性があります。
環境省資料では、委託契約書やマニフェストに、太陽電池モジュールであることを明記し、メーカー名や型式も記載することが望ましいとされています。
記載例としては、次のような形が考えられます。
使用使用済み太陽電池モジュール
使用済み太陽電池モジュール、メーカー名〇〇、型式〇〇
6.処理業者へ提供すべき情報
太陽光パネルを適正に処理するためには、排出事業者から処理業者への情報提供が重要です。
特に、次の情報は事前に整理しておくことが望ましいです。
・メーカー名
・型式
・枚数
・重量
・破損の有無
・設置場所
・撤去方法
・架台、ケーブル等の付属物の有無
・有害物質の含有情報
・リユースの可能性
・搬出予定日
・保管状態
環境省資料では、太陽電池モジュールの性状や取扱い時の注意事項など、必要な情報提供手段として廃棄物データシート、いわゆるWDSの活用が推奨されています。
また、太陽光発電協会のガイドラインでも、産業廃棄物の排出事業者は、適正処理のために必要な情報を処理業者へ提供することが求められており、太陽電池モジュールの含有化学物質情報の提供が重要とされています。
7.太陽光パネル処理で注意すべき安全対策
使用済み太陽光パネルは、撤去後であっても光が当たると発電する可能性があります。
そのため、撤去、保管、収集運搬、処理の各段階で安全対策が必要です。
環境省資料では、解体・撤去、収集運搬時の留意点として、以下のような対策が示されています。
・受光面を下にする
・ブルーシート等で遮光する
・ケーブル端末をビニールテープ等で絶縁する
・厚手の絶縁ゴム手袋を着用する
・破損したパネルは水濡れを防止する
・関係者以外が触れないよう囲いや表示を行う
特に、破損したパネルは、ガラスによるけがのリスクや、水濡れによる含有物質の流出リスクがあるため、通常の廃棄物以上に慎重な取扱いが求められます。
8.埋立処分よりリサイクルを検討すべき理由
使用済み太陽光パネルには、ガラス、アルミ、銅、銀など、再資源化できる素材が含まれています。
環境省資料でも、使用済み太陽光パネルは、資源の有効利用の観点から、埋立処分よりもまずリサイクルを検討する必要があるとされています。
国は、2030年代後半以降に太陽光パネルの排出量が顕著に増加し、年間最大50万トン程度に達すると予想しています。すべてを埋立処分した場合、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理全体に支障が生じるおそれがあるため、リサイクル推進が重要とされています。
また、2026年5月29日には「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立し、同年6月5日に公布されました。環境省は、太陽光パネルリサイクル関連ページで同法の成立・公布を公表しています。
時間的・場所的にも分別などが難しい災害廃棄物についても、今では多くの現場でリサイクルがなされています。
まさに2030年代からのパネルの大量排出に備えて、リサイクルの体制を行政や処理事業者側でも作り上げていく必要があります。
また、サーキュラーエコノミーの流れの中で、資源・原料として使えるように、処理技術も進んできています。
今後は、太陽光パネルを単に「廃棄するもの」として扱うのではなく、再資源化すべき資源として処理ルートを検討することが重要になります。


【出典:再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について 令和5年4月 環境省】
9.太陽光パネルを廃棄する前のチェックリスト
太陽光パネルを廃棄する際は、次の項目を確認しましょう。
☑太陽光パネルが産業廃棄物に該当するか
☑誰が排出事業者になるのか
☑収集運搬業者・処分業者が必要な許可を持っているか
☑委託契約書に必要事項が記載されているか
☑マニフェストに「使用済み太陽光パネル」と明記しているか
☑メーカー名・型式を確認しているか
☑有害物質情報を確認しているか
☑破損・感電・水濡れ対策を行っているか
☑リサイクル処理が可能か確認しているか
☑最終処分まで処理状況を確認しているか
これらを事前に確認することで、不適正処理、委託契約の不備、マニフェスト記載ミス、処理業者とのトラブルを防ぎやすくなります。
10.Q&A:太陽光パネルの産業廃棄物処理に関するよくある質問
Q1.太陽光パネルは産業廃棄物ですか?
A1.事業活動に伴って排出される使用済み太陽光パネルは、原則として産業廃棄物として扱われます。一般的には、金属くず、ガラスくず等、廃プラスチック類の混合物として整理されます。
Q2.住宅用太陽光パネルも産業廃棄物になりますか?
A2.住宅用であっても、解体工事や屋根改修工事などの事業活動に伴って撤去される場合は、産業廃棄物として扱われることがあります。解体・撤去業者が排出事業者になるケースが一般的です。
Q3.太陽光パネルの排出事業者は誰ですか?
A3.発電事業者が自ら撤去する場合は発電事業者、解体・撤去工事を業者が請け負う場合は、直接請け負った元請業者が排出事業者になることが一般的です。不良品など製造過程で発生したものはメーカーが排出者になると整理されています。
Q4.マニフェストには何と書けばよいですか?
A4.品目に加えて、「使用済み太陽電池モジュール」または「使用済み太陽光パネル」であることを明記することが望ましいです。メーカー名や型式も記載すると、処理業者が適正処理を行いやすくなります。
Q5.太陽光パネルはリサイクルできますか?
A5.太陽光パネルにはガラス、アルミ、金属類など再資源化できる素材が含まれており、リサイクルが可能です。国も大量排出に備えてリサイクル制度の整備を進めています。
11.まとめ:太陽光パネルの廃棄は排出事業者責任を踏まえた対応が必要
使用済み太陽光パネルは、事業活動に伴って排出される場合、原則として産業廃棄物として適正に処理する必要があります。
特に重要なのは、誰が排出事業者になるのかを正しく把握することです。
発電事業者が自ら撤去する場合、解体・撤去業者が工事を請け負う場合、メーカーが不良品を廃棄する場合など、状況によって排出事業者は異なります。
また、太陽光パネルの処理では、委託契約書、マニフェスト、有害物質情報、安全対策、リサイクルルートの確認など、通常の廃棄物以上に注意すべき点があります。
今後、使用済み太陽光パネルの排出量は増加すると見込まれており、リサイクル制度の整備も進んでいます。太陽光パネルの撤去・処分を検討している場合は、早い段階で産業廃棄物としての取扱い、排出事業者責任、適正な処理ルートを確認することが大切です。
太陽光パネルの撤去・処分に関する排出事業者責任や許可確認、委託契約の内容に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
株式会社環境と開発は、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしていますので、太陽光パネルの処理やリサイクルにお困りの際はお気軽にコンサルティング担当にご相談ください。
→ 太陽光発電所(林地開発)新設・拡張の紹介ページはこちら
→ お問い合わせ・ご相談はこちら
【開発許可(都市計画法)・林地開発許可の関連コンテンツ】
- 開発許可について
- 地域森林計画対象民有林(5条森林)とは?
- 都市計画区域・区域外とは?
- 林地開発許可の手続きの流れ
- 都市計画法の一部が改正されました
- 林地開発許可制度の見直しについて
- 農地転用許可制度とは?
- 廃棄物処理施設 土地の探し方

工場・施設づくりについて
お悩みの点・この土地なら可能か?
など、詳しく知りたい方はこちらから
お客様の廃棄物処理施設の計画・お悩み、ご質問・ご不明な点等ありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
この記事は私が監修しています!
この記事を監修している【株式会社 環境と開発】の代表取締役 田邉です。
産業廃棄物処理施設の設置に関するコンサルティングを数多く⼿掛けながら、廃棄物処理施設づくりの関連情報を発信しています。
廃棄物処理施設の計画・お悩み、ご質問・ご不明な点等ありましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。



