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廃棄物処理施設・工場の設置に必要な調査とは?

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廃棄物処理施設・工場を新たに設置するときには、自治体との事前協議や設置許可などの手続きが必要になります。
自治体での手続きの際には添付資料として、いくつかの調査書面が必要になります。

また、手続きとしては不要であっても、建物の建築や廃棄物処理施設の設置、土地に関しての土木的な調査も必要です。
行政から指摘があって、後からドタバタと調査を業者にお願いしたことはありませんか?

そこでこの記事では、廃棄物処理施設(工場)の設置に際して、必要な調査の中身や注意点について詳しく解説していきます。
また、相談事例もご紹介していきますので、新たに廃棄物処理施設(工場)の設置を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
1.廃棄物処理施設・工場の設置に必要な調査には何がある?
 (1)場所(土地)の選定調査
 (2)インフラ調査
 (3)関係法令調査
 (4)測量(現況測量・境界確定測量)
 (5)地質調査(地盤調査)
 (6)環境影響評価(環境アセス)・生活環境影響調査
 (7)資金計画・リスク評価
2.環境と開発への「廃棄物処理施設・工場の設置に必要な調査」ご相談事例
3.まとめ


1.廃棄物処理施設・工場の設置に必要な調査には何がある?

廃棄物処理施設(工場)設置には様々な調査が必要です。以下に、一般的な調査をあげています。

(1)場所(土地)の選定調査
(2)インフラ調査
(3)関係法令調査
(4)測量(現況測量・境界確定測量)
(5)地質調査・土質調査
(6)環境影響評価(環境アセス)・生活環境影響調査
(7)資金計画・リスク評価

これらは一般的な調査の例ですが、具体的な廃棄物処理施設・工場の種類や設置場所によって必要な調査が増えることもあります。
まずは、それぞれの調査を見ていきます。


(1)場所の選定調査

場所の選定調査は、廃棄物処理施設・工場計画場所を選定するにあたって、押さえておくべき項目です。
以下のポイントがあります。

・地理的な位置や周囲へのアクセス性を確認する。
  →搬入元や搬出先、自社既存施設との位置関係など。

・計画地の土地や建物の登記簿謄本、字図の取得
  →今後の調査を行なうためにもまず必要になります。
   法務局で取得するか、郵送やオンラインでの取得も可能です。
    ※法務局HP 管轄のご案内(外部リンク)

・周辺の土地利用、地域の発展予測を調査する。
  →関係法令調査に関係しますが、都市計画区域については要確認です。
   どんなに土地が良くても廃棄物処理施設を設置できない可能性があります。
   また、廃棄物処理施設(工場)の半径300m程度までは学校や病院といった静謐を要する施設が無いか把握しておきましょう。

・製品やサービスの需要や競争状況を分析する。
  →その地域や自治体での需給は可能な限り把握しておきましょう。
   特に、一般廃棄物関係については、自治体の意向で廃棄物処理施設設置の可否が変わってきます。

・周辺地域の労働力供給の見込み。
  →現地で廃棄物処理施設の労働力を確保することを検討する場合は、併せて確認しましょう。


不動産業者に依頼して調べてもらう、というのも多いと思いますが、
自治体と廃棄物処理施設(工場)の設置について話ができるのであれば、
この段階や(2)(3)の段階で早めに確認しておく方がいいでしょう。

※市街化調整区域などは前回のブログ「土地の探し方」参照




(2)インフラ調査

インフラが確保できていない場合は、廃棄物処理施設にかかる費用や期間に大きく影響します。
インフラ調査では、以下の基本的なインフラを確保できるか把握する必要があります。

・道路(幅員が足りるか)
・電気
・ガス
・上水道
・下水道
・排水先
・電話
・公共施設
  →現地の確認とともに抑えておきましょう。

インフラが無い場合は、インフラを自前で整備or自治体と交渉などで確保する必要があります。
資金計画にも大きく影響する内容になります。



(3)関係法令調査

関係法令調査を行うためには、廃棄物処理施設の場所と事業内容が決まっている必要があります。
(場所や事業内容が変わると、調査結果が変わってしまう可能性があるからです。)

廃棄物処理施設の場所と行いたい事業がハッキリしたら、
地域や産業に関連する、法律、規制、許認可を自治体の各担当部署に確認することになります。
土砂災害警戒区域など、土地の利用に制限がかかるものを漏れなく把握する必要があります。


電話やFAXで確認できる自治体もありますが、廃棄物処理施設計画地の現地確認と同時に伺う方がその後の手続きでも動きやすくなります。
以下、主な法令と内容です。
規制区域及び対象となる規模 関係法令 対象となる行為 |規制区域 |対象規模 |市街化区域 2,000 m 注視区域、監視区区域、 規 市街化調整区域・ |制区域 |国土利用計画法 |土地取引 非線引きの都市計画区域 都市計画区域外 |市街化区域 5,000 m 10,000 m 2,000 m 注視区域、 監視区区域、 規 市街化調整区域・ |制区域外 5,000 m 非線引きの都市計画区域 都市計画区域外 10,000 ㎡ 都市計画施設等の区域内 ㎡| (都市計画道路の区域内 など) 200 m | 公有地の拡大の推進に関する法 「律 |土地取引 m |市街化区域内 5,000 ㎡ |線引き都市計画区域 |市街化区域 1,000 ㎡| 都市計画法 都市計画法に基づく開発 | 行為 | (建築等を目的とした土 地造成) | 市街化調整区域 全ての行為 非線引き都市計画区域 |準都市計画区域 |その他の区域 3,000 ㎡ 3,000 1 ha 急傾斜の崩壊による災害の防止工作物の建設、伐採、土地 に関する法律 の形状変更 急傾斜地崩壊危険区域 |全ての行為 |砂防法 | 地すべり防止法 |土砂災害防止法 景観法 都市計画区域外 景観形成地域 景観条例 特定施設届出地区 |大規模行為 宅地造成及び特定盛土等規制法 造成行為 規制区域 |残土条例 河川区域 |河川法 開発行為 工作物の建設、伐採、土地 |の形状変更 砂防指定地 全ての行為 |工作物の建設、伐採、土地 |の形状変更 地すべり防止区域 |全ての行為 |工作物の建設、伐採、土地 の形状変更 土砂災害特別警戒区域 | 大規模行為(土地の形質 都市計画区域 変更) 全ての行為 15,000 ㎡ 50,000 m 3,000 ㎡ |全ての行為 |河川区域から概ね50m以 内で設定される 全ての行為 |港湾法 |第2条、第38条 |河川保全区域 ○港湾施設の利用申込み 及び臨港地区における行 為の届出等 ○海面放流に関する港湾 施設占用許可申請 ○工事着手届出・工事完 |成届出 ○港湾施設の利用申込み 及び臨港地区における行 都道府県知事 為の届出等 ○港湾施設 (荷さばき地・ |野積場) 使用許可申請 ○港湾施設の利用申込み 及び臨港地区における行 |為の届出等 ○港湾施設使用許可申請 |海岸保全区域 自治体の指定区域 |全ての行為 |海岸法 開発行為 特定都市河川法 |一般公共海岸保全区域 |浸水被害防止区域 | 海岸保全区域以外の区域 全ての行為 |自己居住 住宅以外
関係法令 対象となる行為 |市街化区域内 規制区域 規制区域及び対象となる規模 |対象規模 全ての行為 |農用地区域内の農地 |全ての行為 甲種農地 |全ての行為 |農地転用 |農地法 市街化区域外 |第1種農地 |全ての行為 |第2種農地 |全ての行為 |第3種農地 |全ての行為 |非農地証明 [非農地 農業振興地域の整備に関する 法律 |農用地区域の除外 農用地区域 区域内の農地 |全ての行為 保安林 |森林法 林地開発 保安林指定解除 伐採行為 地域森林計画区域 国有林 |全ての行為 1 |全ての行為 Ihal 保安林 全ての行為 |地域森林計画区域 1ha未満 |全ての行為 |文化財保護法 |工作物の建設、伐採、 土地 既存の史跡・名勝等 |の形状変更 |周知の埋蔵文化財包蔵地 | 土壌汚染対策法 | 開発行為 (土地の形質変 更) 全ての地域 自然公園法 工作物の建設、伐採、 土地 国立公園、 国定公園 の形状変更 [特別地域 |普通地域 全ての行為 全ての行為 3,000 |全ての行為 全ての行為 ㎡ 鳥獣の保護及び狩猟の適正化工作物の建設、 伐採、 土地 に関する法律 | の形状変更 |鳥獣保護特別保護区域 全ての行為 建築確認 建築物 工作物確認 工作物 |建築基準法 道路位置指定 |道路 |中心後退 施設位置の許可(第51た だし書き) |廃棄物処理施設等 建築面積 |工場立地法 | 既存特定工場内の設置 敷地面積 3,000 m 9,000 ㎡| | 国有財產法 |用途廃止 |付替え |施工承認 使用許可 道路法 |施工承認 |占用許可 |航空法 開発行為 (高さ制限等) 空港周辺の制限表面 設定区域 |全ての行為 |環境影響評価法 |環境影響評価条例 |大気汚染防止法 特定施設設置 指定地域 |水質汚濁防止法 特定施設設置 |騒音規制法 振動規制法 特定施設設置、 |指定地域 | 特定建設作業 特定施設設置 | 特定建設作業 指定地域 指定地域 | 特定地域 | 特定地域 悪臭防止法 |消防法 | 法定外公共物管理に関する条例 | 廃棄物処理法 ~条例事前協議 ~指導要綱事前協議 |廃棄物処理施設設置許可 廃棄物処分業許可
色を付けた「都市計画法」「建築基準法」「廃棄物処理法」が
廃棄物処理施設・工場の設置の際にメインで関係する法令です。

他の法令も該当がないか、自治体に確認して後で漏れがないようにしておくと安心です。
また、許認可申請前に法令の改正などで内容が変わってしまうこともあります。
HPで確認する場合は、最新の情報かどうかということも気をつけましょう。



(4)測量(現況測量・境界確定測量)

測量とは、地形や高さなどを観測して、現状を測量図等で表す作業です。
一般的には「現況測量」と言われています。
現況測量は次のような場面で必要になります。

・建物の新築
 →どのような建物が建てられるか、土地の形状・面積を把握するため。(現況求積測量、現況平面測量)

・高低がある土地
 →建物が無い場合でも、土地の高低差を把握するため。(高低測量)

・既存の建物等がある土地
 →既にある建物の高さや位置、樹木の位置などを把握するため。(現況平面測量、高低測量)


また、土地の境界について調査し、境界杭の設置や境界確認等を行なう作業があります。
こちらは「境界確定測量」と言われています。
境界確定測量は次のような場面で必要になります。

・土地の売買
 →土地の境界が確定していない土地だと、隣接地との紛争のもとになる。

・土地の分筆
 →土地の分筆の際に、すべての境界で隣地土地所有者と境界確認作業が必要。

・境界杭の復元
 →過去にあった境界杭が道路工事などで滅失している場合。


測量については、資格を持った専門家に依頼する必要があります。
測量士や土地家屋調査士へ依頼しましょう。



(5)地質調査(地盤調査)

地質調査は地盤の安定性や地質的な特性を評価するための調査です。
土木構造物や建築物などが地震や地すべりなどにより受けるリスクを考慮するため行います。
主な調査には以下のようなものがあります。

・ボーリング調査
・地すべり調査
・安定解析
・土質試験
・SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)
・平板載荷試験
・液状化調査
etc.

建築物等の配置や設計に必要な情報となるます。
また、一定以上の開発に際して設けることが必要になる調整池や、最終処分場といった土木構造物、
排水関係の施設などで役所への提出書類として調査結果が必要になります。

調査自体は数か月必要になるものもあるので、早めにおこなうことが大事になります。
併せて、調査結果により計画を変更する必要がでてくることもあるので、計画段階でおこなうことをお勧めします。
地質調査については専門の調査機関に依頼しましょう。



(6)環境影響評価(環境アセス)・生活環境影響調査

環境影響評価や生活環境影響調査は、環境への影響を評価し、各環境基準に適合するか確認する調査です。
環境影響評価や生活環境影響調査は次のような違いがあります。



廃棄物処理施設に限らず、対象となる事業の規模を超えるものが環境影響評価法(条例)の対象になります。
それ未満について、廃棄物処理施設については生活環境影響調査の対象となります。

それぞれ必要となる調査内容が変わってきます。
別に詳しくまとめた記事があるので、そちらをご覧ください。
→生活環境影響調査とは?

また、環境影響評価は少なくとも数年かかる手続きになります。
生活環境影響調査も対象施設次第になりますが、数か月から1年かかるものもあります。
環境影響評価や生活環境影響調査についても専門の調査機関に依頼しましょう。



(7)資金計画・リスク調査

資金計画やリスク調査は、他の項目とは少し違う側面になりますが、
調査段階で並行して行う項目です。
・設備投資、建設、運営にかかる費用を評価し、予算を確定する。
・災害や事故へのリスクを評価し、適切な対策を計画する。

金融機関からの融資や補助金の検討なども必要になります。
スケジュールに影響を与える部分にもなるので、早めに相談しておきましょう。




2.環境と開発へのご相談事例

ここからは、株式会社環境と開発にご相談頂いた、廃棄物処理施設の調査段階から施設完成まで関わった事例をご紹介します。
産業廃棄物処理施設・工場の新設を検討されている方は、是非参考にしてください。


ご相談事例①:長期に及ぶ関係法令手続き期間を見据えた工程管理から、金融機関の対応・ファイナンス関係も担当した廃棄物処理施設の事例。

ご相談事例

【ご要望】

実際に事業を開始するために必要な業務一式(廃棄物処理施設の選定・配置計画・ファイナンス関係・関係許認可手続き等)に携わって、事業が開始できるようにしてほしい、と当社にご相談いただきました。

【課題】
東京都スーパーエコタウン事業に採択はされたましたが、一部に事業採算の悪い事業が含まれており、そのままでは事業化するのが難しい状態でした。
市場調査や事業主体の取り扱い廃棄物の傾向から、対象とする廃棄物自体の見直しから始める必要がありました。

【施策】
市場調査等を行った上で事業採算が取れる事業に変更し、その内容に即したプラント及び廃棄物処理施設建築の配置計画等をご依頼いただきました。
計画決定後、関係法令対応はもとより、ファイナンスに関する対応もご依頼いただきました。

① 事業化検討
② 事業計画立案
③ プラント・建築計画立案
④ ファイナンスに関する金融機関等への対応
⑤ 環境アセスメント(条例アセス)
⑥ 関係法令対応
⑦ 工事の進捗管理
⑧ 太陽光発電システム導入のための補助金取得
⑨ プラント運転管理システムの構築

をご発注いただきました。

→ 各種調査から始まった工場新設の事例のページはこちら



3.まとめ

今回の記事では、廃棄物処理施設・工場の設置に必要な調査について取り上げました。

廃棄物処理施設や工場の設置の際は、様々な調査事項や法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。
株式会社環境と開発は、各専門家と連携し、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしています。

株式会社環境と開発は、今年5月に札幌オフィスも開設し、
㈱土木管理総合研究所(DK)グループに入ったことで、全国での各種調査に対応しております。

各種調査
 ・法令調査
 ・測量(現況測量、境界測量)
 ・下流調査
 ・地質調査
 ・環境調査(生活環境影響調査 、環境影響評価)
 etc

調査について、具体的に計画が決まっていて依頼先を探している方も
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