「廃棄物処理施設等の更新及び交換手続き」の通知について ~施設の更新・入替を緩和する内容ですが注意点も・・・~
令和3年4月5日に環境省より「廃棄物処理施設等の更新及び交換に係る手続について(通知)」が出されました。
これは、施設の更新や交換の際の行政手続きを一部緩和する内容です。
しかし、今までとどう違うのか、実際にどういったものが対象になるのか、
通知自体を読んでもイマイチ分かりにくいのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「廃棄物処理施設等の更新及び交換手続き」の通知について詳しく解説していきます。
みなし許可施設での注意点などもご紹介していきますので、廃棄物処理施設の更新や交換を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
2.以前の廃棄物処理施設の更新・交換手続
3.第一:「設置許可等」について
4.第二:同一の廃棄物処理施設に更新する場合
5.第三:廃棄物処理施設の一部を同一のものに交換する場合
6.第四:同一ではない廃棄物処理施設に更新する場合
7.第五:廃棄物処理施設の一部を同一ではないものに交換する場合
8.注意点① 「通知」なので自治体(許可権者)に確認を!
9.注意点② みなし許可の施設には適用されない?
10.まとめ
1.「廃棄物処理施設等の更新及び交換手続」通知の内容について
令和3年4月5日に環境省より「廃棄物処理施設等の更新及び交換に係る手続について(通知)」が出されました。
これは、施設の更新や交換の際の行政手続きを一部緩和する内容です。
本文(PDF)環境省通知「廃棄物処理施設等の更新及び交換に係る手続について」はコチラ
通知が出された意図としては、廃棄物の減量・リサイクルを推し進めていくという大きな目標がある中で、
施設や設備の入れ替えにかなりの手間がかかってしまっていたことがあげられます。
2.以前の廃棄物処理施設の更新・交換手続き
廃棄物処理施設を更新する、機械を入れ替える場合は、同じ機械でも基本的には「変更許可」が必要でした。
(ここでの「廃棄物処理施設」は設置許可にかかる施設です。詳しくはコチラ)
廃棄物処理施設の変更許可は、手続きとしては新規の設置許可と実質的に同じ手続きが必要になるものであり、
自治体との事前協議手続きの中で、住民同意や生活環境影響調査なども必要になる自治体もあったりと、
最終的な変更許可まで、更新・入替に数年かかってしまうこともありました。
そのような状況では、安定的な廃棄物の減量やリサイクルが進められないということで、
平成29年の環境省の中央環境審議会で、
「環境負荷が低減する場合の手続の簡素化」
「更新許可手続が事業者の円滑な事業の促進を阻害することのないように必要な措置を検討していくべき」
ということが言及されました。
それから時間はかかりましたが、今回の通知は、更新・交換の際の手続を変更するように、関係自治体に通知しているものとなっています。
3.第一:「設置許可等」について
通知の第一では「設置許可」の法的意味について新たな解釈をとっています。「設置許可を有すること」と「施設が存在すること」は個別に考慮するという内容です。
つまり、今までは・・・
施設の更新・入替 古い施設の廃止届 → 既存の設置許可を廃止 + 新規施設の設置許可申請
変更後は、
施設の更新・入替 古い施設の廃止届 → 古い施設で受けた設置許可は有効のまま
となり、施設の入れ替えの際に、「新規設置許可」ではなくなります。
細かい手続きの内容は第二以降で見ていきます。
4.第二:同一の廃棄物処理施設に更新する場合
同一の廃棄物処理施設を更新・入れ替える場合は、能力的にも何も変わりがないので、
第一にあるように、新規の設置許可は不要になります。
(ここでいう「同一」というのは、型番も同じ機械であるというものです。)
ただし、新しい施設を稼働させるに際して、行政による「使用前検査」(廃棄物処理法第8条第1項及び第15条第1項)が必要となります。
手続き的に、使用前検査だけになるというのは、かなり軽減される内容です。
ただ、十数年以上経った機械になると、型番まで同じものが手に入るかどうかという問題はあります。
(現実的には「第四:同一ではない廃棄物処理施設に更新する場合」の内容がメインになるのではと思います。)
また、同一の廃棄物処理施設だとしても、更新の際に施設の位置を変えるなど変更事項があれば変更許可になる(第四と同様の判断)、という自治体の判断もあったのでご注意ください。
5.第三:廃棄物処理施設の一部を同一のものに交換する場合
廃棄物処理施設の一部を同一のものに交換する場合、従来の行政解釈では変更許可の対象となっていました。
今回、この通知では同一部品等への変更であれば変更許可も軽微変更届出も不要(使用前検査も不要)ということで、
手続きを大幅に軽減しています。
6.第四:同一ではない廃棄物処理施設に更新する場合
同一ではない廃棄物処理施設に更新する場合、というのは、別のメーカーの機械になるような場合ももちろんですが、
同メーカーでも機械の型番が新しくなって変わっていたりする場合も含まれます。
こういった更新の場合も手続きを軽減する解釈となっています。
この場合、次のような判断になります。
(1)軽微な変更に該当する場合
以下のすべてを満たす必要があります。・増大する処理能力が10%未満
・位置や処理方式が変わらない
・主要設備が変わらない
・排ガス又は排水について、排出方法の変更又は量の増大が無い
・排ガスの性状又は放流水の水質について、生活環境影響が増大しない又は測定頻度が低くならない
軽微な変更に該当する場合は、軽微変更の届出を出すのみになります。
現実的には、担当行政に相談に行って、更新内容の確認の上で軽微変更届出となると思います。
(2)軽微な変更に該当しない場合
「変更許可」となります。
事前協議→変更許可→使用前検査(→処分業関係申請)の流れです。
以前のような、古い施設の廃止届+新しい施設の新規設置許可という形ではなくなりますが、
手続きとしては、今までの設置許可・変更許可と同等です。
7.第五:廃棄物処理施設の一部を同一ではないものに交換する場合
廃棄物処理施設の一部を同一ではないものに交換する場合は、第四と同様です。
軽微変更に該当するかどうかで判断して、変更許可or軽微変更となります。
8.注意点① 「通知」なので各自治体(許可権者)に確認を!
「廃棄物処理施設等の更新及び交換に係る手続について(通知)」は、あくまで法的な解釈に関する通知であるため、
これらの取扱いは各許可権者(行政担当)に委ねられています。
更新及び交換の際には、事前に行政に確認することが重要です。
軽微変更に該当するなら1ヶ月くらいですむかな・・・と思っていたら、
軽微変更に該当しないという判断で、そこから1年以上手続きにかかってしまった・・・という事もあり得ます。
各自治体で判断に差があることもあるので、ご注意ください。
9.注意点② みなし許可の施設には適用されない?
「みなし許可」とは、廃棄物処理法でいうと法の改正前にあった処理施設については、
許可申請自体を届出という形で認めたものです。
平成13年の木くずやがれき類の破砕施設の追加が一番多いのではないでしょうか。
詳しくはコチラ。
みなし許可の施設は、「設置許可」は所有しているものの、実際には当時許可手続きを受けていないため、
今回の通知の適用は難しいのが現実です。
みなし許可については、施設の更新や入替の際に、廃棄物処理法としての新規許可手続きになるとともに、
建築基準法第51条ただし書き許可の手続きも出てくる可能性があるので、計画の際は早めにご相談ください。
10.まとめ
通達の対応についてまとめた表は以下のとおりです。
今回の記事では、「廃棄物処理施設等の更新及び交換に係る手続について(通知)」について取り上げました。
通知の内容や注意点などをお伝えしてきました。
廃棄物処理施設の更新や入替の際は、様々な法令が関係してくるため、専門家のサポートが必要なケースが多くなります。
株式会社環境と開発は、各専門家と連携し、長年のコンサルティング経験を活かしたサポートをしていますので、更新や入替の際はお気軽にコンサルティング担当にご相談ください。
→ コンサルティング担当の紹介ページはこちら
→ご相談・お問い合わせはこちらから
【産業廃棄物設置許可・処理業の関連コンテンツ】
〇廃棄物処理施設とは? 〇産業廃棄物処理施設 種類別一覧
〇産業廃棄物処理施設の設置許可について 〇都市計画区域・区域外とは?
〇廃棄物処理施設 土地の探し方 〇廃棄物処理法 処理施設の規制の変遷
〇みなし許可について 〇建築基準法第51条ただし書き許可
〇産業廃棄物処理業の許可の種類について 〇産業廃棄物処分業について
〇最終処分とは? 〇自らの産業廃棄物を処理する場合
産廃処理施設づくりについて
お悩みの点・この土地なら可能か?
など、詳しく知りたい方はこちらから
~お役立ち情報~
環境省
国土交通省
公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター
公益財団法人 廃棄物・3R研究財団
一般社団法人 廃棄物資源循環学会