
東京本社と熊本本店の両輪で業務拡大を目指す
積極的な人材開発でコンサルの専門家集団を構築
(環境新聞2025年元旦号 トップインタビュー掲載)
株式会社 環境と開発
代表取締役 田邉 陽介
―昨年を振り返って
当社は、産業廃棄物処理施設・リサイクル施設の新規開設・拡張等に伴う建設コンサルティングを中心に、再生可能エネルギー発電所・宅地・店舗・工場や災害廃棄物処理の支援も行っている。
具体的には、各種調査・土木設計・許認可手続きサポートを通して、各種施設の建設に必要な業務をトータルで実施している。
2021年に東京本社を開設し、関東一円での業務の拡大を図ってきた。
現場でのリサーチやディスカッション、HPの発信力強化、各種展示会やセミナーなどへの積極的な参加などの地道な取り組みなどを強化し、産業廃棄物処理施設のコンサルティング業務を中心に関東一円で着実に受注件数を積み上げている。
売上面でも、増収増益を達成でき、手ごたえを感じる一年となった。
―具体的に増えている案件などは?
22年4月の「プラスチックに係る資源循環等に関する法律(新プラ法)」の施行に伴うプラスチックの資源循環の促進などを総合的かつ計画的に推進する各種取り組みなどの浸透もあり、プラスチック処理に関する相談案件が増えている。
また、M&Aを通した業界外の投資家からの相談も増えており、業界理解のための情報収集や具体的な案件のデューデリジェンスの相談が来ている。新たな動きではないが、最終処分場の相談も増えてきている。
さらに、循環経済(サーキュラーエコノミー)への取り組みが加速するなか、当社も対応可能な範囲でのさらなるサポート力の強化や情報収集を進めている。
―そのための具体的な施策は?
22年7月に傘下に入った、土木・建築工事の設計・施工現場での「調査、試験、提案」のサポートで実績がある土木管理総合試験所(長野県、下平雄二代表取締役、東証スタンダード上場)との情報共有や社員教育制度を活用したスキルアップを図っている。
また、かねてより業務提携を進めている、許可申請の専門家集団・行政書士法人GOAL(石下貴大代表)、廃棄物処理施設設置の許認可及び環境影響調査に特化して実績のある吉島合同事務所(河野雅好代表)、北海道の環境コンサル行政書士法人(大沼準代表)などとの関係強化や各種業界団体などの人材交流などを通し、国や自治体などの政策、業界の最新情報や動向などを踏まえたコンサルティング業務への取り組みを進めている。
東京本社の受注拡大に伴い、自社の人材だけでは対応できないエリアが出てきている。これらのエリアにも対応できるように、今後も積極的に提携先の行政書士を増やしていく計画である。
―業務拡張に伴う人材開発、採用について
現在、設計業務をメインとする熊本本社で18人、東京が5人の体制だが、新卒採用と第二新卒採用を軸にした社内体制の強化を図っている。
また、東京進出以降、重要なプロジェクトでの若手社員の積極的な登用による育成を進めている。受注案件の拡大に伴い、新たな人材の確保と育成の両輪で、積極的な人材確保に取り組んでいく。
それと同時に、在宅勤務の導入など、これまでも柔軟に進めてきた働き方改革を進化させ、持続可能な組織体制の構築を目指している。
そのための指針として、「ウェルビーイング」について実務に生かすための情報収集を進めている。
同概念は、24年5月に政府が閣議決定した第六次環境基本計画で最上位の目的として掲げられ、「環境の保全を通じて、現在及び将来の国民一人一人の生活の質、幸福度、ウェルビーイング、経済厚生の向上」と定義されている。
当社の業務は、産業廃棄物処理施設に関するコンサルティング、再生エネルギー発電所設置支援、災害廃棄物処理支援、不動産会社・デベロッパー向けの宅地・工場・店舗などの開発支援の4本柱だ。いずれの分野の業務も「ウェルビーイング」に親和性の高い事業内容であり、高い意識を持って取り組んでいくべき課題だと考えている。
―その他の課題や戦略は
太陽光発電所の開発支援については、大規模な発電所の開設などが一段落した現状もあり、受注案件は減っている。
産業廃棄物支援業務については、プラスチックに関する相談案件の増加やサーキュラーエコノミーへの取り組みなど新たな課題が浮き彫りとなっており、まだまだ全国各地で当社の経験や知見を生かした業務拡大が可能だと考えている。
また、災害廃棄物処理支援については、当社がこれまで積み上げてきた知見と実績を生かし、平常時の提案・準備支援に取り組んでいく。
―最後に、今年の抱負を
まずは、東京本社を拠点とした関東一円でのさらなる業務拡大の継続。そのための戦略として、産業廃棄物支援などに実績のある全国各地の行政書士事務所などとの連携先の拡大で、実績のない地域での業務の拡張を図っていく。
また、東京本社と熊本本店とのさらなる連携強化や、積極的な採用と人材開発を進めることで、社内体制の強化と成長を目指す。
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